日常の困りごとは進め方の工夫で、もう忘れない
脳の特徴から、こんな「困った」を感じることがあるかもしれません。
【ADHDの人の日常の困りごと】
・会議や授業で指示をたくさん出されると、あとで思い出せない
・メモを取りたいのに、話についていけない
・「あとでね」と言われると、忘れてしまう
・急に予定が変わると、頭が真っ白になる
これらの「困りごと」は、脳の特性を知り、いくつかの工夫で乗り越えていけるのです。
【1】約束をした瞬間に「スマホ1行メモ」
指示を受けたり約束をしたりしたその場で、ポケットのスマホを開き、メモアプリに1行だけ打ち込みます。たとえば、「15時見積書(課長)」といった具合です。
ポイントは「整理しない」こと。とにかく5秒以内にメモをすること。
そうすることで、頭の中のメモ帳である脳のワーキングメモリ(一時的に情報を保持しながら処理する脳の機能)がパンクする前にタスクを“凍結”します。
メモをしたら「忘れても大丈夫」と、自分への許可出しにもなります。
【2】朝一番で今日のタスクを確認する習慣をつける
朝一番に、タスクを確認する習慣を設定しましょう。
「朝一番でタスク確認をする人」だと周りに認識されると、自分が忘れていても、「これも今日の17時までだから、気をつけて」と声をかけてもらえる可能性が上がります。
【3】重要な指示は文字情報で確認を取る
仕事の場合、上司へ「この書類の提出締め切りは、今日15時で合っていますか?」「他の見積書よりも最優先でいいですか?」といった具合に、メールやチャットなど文字情報で確認します。
さらに、声に出して確認もしましょう。これで指示者と、タスクのゴールイメージを共有し、ズレを未然に防ぎます。文字と口頭確認の“二重化”をすることで、忘れたときに見返せる手がかりが倍になります。
【4】定期的にタスクの棚卸しをする時間を設ける
1週間や1か月など期間を決め、タスクがどれだけ進んでいるか、棚卸しをして確認します。このほか、周りの人に次の「お願いしたいこと」を伝えておくといいでしょう。
【周りの人にお願いすること】
・重要な指示は口頭だけでなく、メールやチャットでも送ってほしい
・複数の指示がある場合は、優先順位を明確に伝えてほしい
・確認や質問がしやすい雰囲気を作ってほしい
ADHDの特性を理解し、適切なサポートがある環境では、その独創性や集中力の高さを活かして、むしろ大きな成果をあげることができます。
先ほどお話ししたすーさんは、特に「衝動性」と「過集中状態の持続」が強く出ていることがわかりました。
そのため「衝動性」を活かして、進捗会議後の時間をあらかじめ設定。会議後にアイデアがわいている状態のまま、タスクを行うのです。
「過集中」は、すーさんの強みである反面、期日管理が苦手でした。そのため、実際の期日よりも前に、社内だけで共有する「社内期日」を設けることで、お客さんに迷惑がかからない仕組みを作りました。
自身の特性を理解して働き方を工夫した結果、大活躍。クリエイティブな領域での彼のアイデアに、私も助けられています。