10月31日には、史上初の5万2000円台で取引を終えた日経平均株価の終値(時事通信フォト)
日経平均株価は、10月の1か月で7000円以上の上昇となった。ただ、「自分の保有株はそんなに上がっていない」という投資家もいるはずだ。その理由は何なのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第165回は、「株価指数の仕組み」について。
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日経平均株価は、10月1日の4万4550円から10月29日には5万1307円と1か月で6757円も上昇しました。その割には自分の保有株はそんなに上がっていないと違和感を覚える投資家も多いのではないでしょうか?
実際、10月29日はまさにそんな日でした。日経平均は1088円高(+2.17%)と大きく上昇した一方で、TOPIXは▲0.23%、グロース指数に至っては▲2.62%と下落。プライム市場の銘柄のうち上昇したのはたった12%で、値下がりが86%を占めています。ニュースで「史上初!日経平均株価5万1000円突破!」と大きく報じられていただけに、自分の保有株がどれだけあがったか、ウキウキしながら証券口座を開いてがっかりした人も多かったことでしょう。わたしもそのひとりです。
日経平均は「株価の高い銘柄」が左右する
こうしたズレの原因は、日経平均株価という指数の仕組みにあります。日経平均は東京証券取引所に上場する225銘柄で構成されており、「株価平均型」という方式で計算されています。これは、時価総額ではなく“株価の値段”そのものが指数に影響するという意味です。つまり、1株が1万円の銘柄は、100円の銘柄の100倍もの影響力を持ってしまうのです。
10月29日の例でいえば、前日に好決算を発表した半導体検査装置大手・アドバンテスト(6857)がストップ高となりました。株価は前日から4000円(+22.08%)上昇の2万2120円。この銘柄だけで、なんと日経平均を1077円も押し上げています。つまり、日経平均の上昇分のほとんどがこの1社によるものでした。こうなると、他の224銘柄のうち半分以上が下がっていたとしても、指数だけは“爆上げ”して見えるという現象が起きます。
一方、TOPIXやグロース指数は「時価総額加重型」といって、企業の規模に応じて指数に与える影響が決まる仕組みです。大企業のほうが影響力が強いとはいえ、株価そのものの値段には左右されません。このため、日経平均が大きく上がっていても、TOPIXやグロース指数が下がっていれば、「中小型株」や「グロース(成長)銘柄」を多く持っている人は含み損を抱える、ということがよく起きるのです。
