「歪み」をなくすための対策も
実はこの“指数の偏り”を是正するために、いくつかの対策もとられています。たとえば株価が5万円以上と非常に高いファーストリテイリング(9983)は、日経平均への影響が大きすぎるとされており、一定の「寄与度キャップ(上限)」を設けて影響を抑える措置がとられています。また、指数構成銘柄の見直しも定期的に行われており、流動性や業種のバランスを考慮して調整されています。
ちなみに米国の株価指数「S&P500」は時価総額加重型で、時価総額によって寄与度が左右されるため、個別株と米国市場全体の温度感は、日経平均株価ほどの差はありません。
日経平均株価はあくまで“225銘柄のうちの平均”であり、市場全体や自分の保有銘柄の状況を正確に映し出すものではありません。グロース市場や中小型株を多く保有する個人投資家にとっては、こうした乖離は日常的に起こります。
「日経平均が上がってる=自分も儲かってる」とは限らない。このカラクリを知っておくだけでも、指数に振り回されず冷静な投資ができるかもしれませんね。
今回のまとめ
・日経平均は「株価平均型」で、株価の高い一部銘柄が指数を大きく動かす
・TOPIX、グロース指数は、企業の規模に応じて動くため、全体の雰囲気をつかみやすい
・日経平均株価の上げ下げに過度に振り回されないようにしよう
【プロフィール】
藤川里絵(ふじかわ・りえ)/個人投資家・株式投資講師・CFPファイナンシャルプランナー。2010年より株式投資をはじめ、主に四季報を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。普通の人が趣味として楽しめる株式投資を広めるため活動し、DMMオンラインサロン「藤川里絵の楽しい投資生活」を主宰。本稿の関連動画がYouTubeにて公開中。
個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さん
