路上喫煙禁止を掲げる千代田区
条例で禁止されている路上喫煙やポイ捨てをした場合、「過料金」を徴収する自治体は全国で少なくない。
先駆けとなったのは東京・千代田区だ。2002年に路上喫煙禁止条例を制定し、区では路上喫煙、それによるポイ捨てを過料の対象としたうえ、昨年の11月1日からは加熱式タバコによる喫煙もその対象に含めた。どちらの場合も、違反すれば2000円の過料が課せられる。大阪市でも2025年1月17日から市内は全面路上禁煙となり、違反した場合は過料1000円を支払う必要がある。
過料に差はあれど、いずれも“喫煙は喫煙所で”というマナーを遵守してもらうための条例であることに変わりはない。職員などが指定地区内をパトロールし、違反者を見つけたら、その場で、または納付書による支払いを求めるわけだが、なかには“なりすまし”の職員もいるという――。うっかり被害に遭いそうになったことがある喫煙者たちが、その実態について教えてくれた。
千代田区で…紛らわしい「腕章」の男性
千代田区在住のAさん(30代男性)は、「知らないと払ってしまう」と巧みななりすましに驚く。
「神田と秋葉原の間くらいに住んでいるんですけど、マンションの敷地内で煙草を吸っていたら40代くらいのおじさんが急に現れて『千代田区内は外で吸うのは禁止だから、罰金だよ』と言ってきました」(Aさん)
Aさんの記憶では、その男性は腕には「パトロール」と書かれた腕章をしていたが、それ以外の服装はいたって普通だったという。
「千代田区は喫煙に厳しいということは知っていますし、余計なお金は払いたくないので、“何をしたら過料対象になるか”は把握しています。だから吸う場所にはめちゃくちゃ気をつけていて、敷地内は吸っていいことも管理人に確認済み。すぐにこの過料請求はおかしいと気が付きました。
そもそも行政の指導員であれば『千代田区』とか書かれている何かを身に着けているはずなのに、男性は単なる普段着でした。男性に『あなた行政の人じゃないですよね』、『ここは敷地内なので問題ないはずですよ』というと、『今回だけは見逃します』としどろもどろになりながらどこかへ消えていきました。ただ、やっぱり違反だと言われるとビビる。うっかり『仕方ない』と思って払ってしまう人もいるだろうと思いました」(前同)
