Yシェフから筆者のもとに送られてきたハゼの天ぷらの写真
プロに対して素人の私がどう賛辞を送ればよいのか
最近も、「プロを褒める」について改めて考えさせられることがありました。
この半年ほど時々行くようになったフレンチのたいへん美味なる店があります。ここのシェフが作る料理は工夫を凝らした絶品だらけで、私が一番好きなのは「イワシのポタージュ」です。一見地味ですが、イワシをフードプロセッサーですりおろし、それにスープとしての絶妙な味わいをつける。サンマを春巻き風にした一皿も美味。
いずれの料理もお酒に合う味付けで、すっかりこの店のYシェフの料理のとりこになりました。店で一緒に働く夫人のMさんとは数年前に知り合っていたのですが、ある時「随分日焼けしていますね?」と言われました。
そこで私は「ハゼ釣りに最近よく行っているので、日焼けしてしまうんですよ~」と言ったらYシェフはそこに反応。「えっ? 僕、ハゼってすごくおいしい魚だと思っているんですよ。一緒に行ってもらえませんか?」
こちらとしては、ハゼ釣りは最上級の娯楽なわけで、即「行きましょう!」となります。そして、潮の様子が良い日に一緒にハゼ釣りをしたのです。うれしいことに2人で25匹ほど釣れ、すべてをYシェフ一家に持ち帰ってもらいました。すると家族全員で楽しんだ、というメッセージとともに天ぷらの写真が送られてきました。
これに対していかにして返事をするか……。「おいしそうです! さすがYシェフ!」「こんなにきれいに揚げられるのですか!」「プロの天ぷら技術、おみそれしました!」――これが最初に思い浮かんだ率直な感想です。
しかし、この3つの感想は、プロのフレンチシェフに対しては失礼かな、と思ったんですよ。まず、Y氏は天ぷら職人ではありません。しかし、プロの料理人ですから揚げ物は上手に作れる。そんな人物に対して、料理の素人である私が、どうすれば失礼なく賛辞を送れるのか、悩んでしまったんですよね。
