「育ててやろうと思ったのに」
つまるところ政府の実力族議員がバックについているのだから、地方自治体の担当レベルは黙れという露骨な政治的圧力ではないか。いったい藤丸とみんなで大家さんとはどんな関係なのか。当の藤丸本人が答える。
「4~5年ほど前、『不特法に基づいた電子取引をしたいので後押しをお願いします』と言われて彼と知り合いました。成田の計画はインバウンドを増やす良い話だから協力しなくちゃだめだと(私は)周りにも言っていた。だが、お金が集まりすぎて、バナナの瞬間冷凍やらいろんなものに手を出し始めた。せっかく育ててやろうと思ったのに、おかしいことしてるって文句言ってから疎まれています」
共生バンク側に議事録について尋ねると、「監督官庁である大阪府都市整備部の担当者に対し、求められた質問への回答その他報告は、一般的に行われているものです」と回答。藤丸との関係については「当社(柳瀬会長を含む)が藤丸議員に協力を依頼したことはありません」と否定した。議事録の内容や藤丸の言い分とは明らかに食い違っている。
バナナの農法を含めたみんなで大家さん問題を追及してきた衆院議員の緒方林太郎が指摘する。
「アベノミクスはドリルで岩盤規制を切り崩すとしてきましたが、穴の開け方を間違えました。その一つが不特法改正によるネット取引の増加でしょう。その結果がみんなで大家さんの2000億円に上る出資金。まさかそこに協力した政治家がいなければいいのですが」
緒方の杞憂に終わるとは限らない。
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【プロフィール】
森功(もり・いさお)/1961年福岡県生まれ。ノンフィクション作家。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て2003年よりフリーに。2018年、『悪だくみ──「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大宅壮一ノンフィクション大賞受賞。『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』、『菅義偉の正体』、『魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史』など著書多数。
※週刊ポスト2025年11月28日・12月5日号