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キャリア
伊藤孝恵氏が政界に持ち込んだ「リクルート流」

リクルート出身参院議員・伊藤孝惠が感じた「元リク」が受ける“世間からの逆風” 批判を受けても「在職育休中」に立候補した理由を明かす

在職育休中の立候補

――そういえば、社員証の写真は「笑顔でないといけない」というルールがありましたね。

伊藤:そう、笑うまで撮り直しさせられます(笑)

 一方で、A面である仕事には厳しかったです。会議では冒頭で必ず「この会議の最後に決まっていること」を確認し、アジェンダ(議題)と、その議論の礎となるアペンディクス(参考資料)を提示してからプレゼンを始めなければいけないので、フワッとした言葉や数字では戦えませんでしたし、会議の中で一度も発言しない人は、次は召集されませんでした。

――日本の大企業の会議は逆で、たいていの場合「雉も鳴かずば撃たれまい」です。得点することより失点しないことの方が優先されます。

伊藤:リクルートはたとえ大企業になっても、あの感覚。圧倒的当事者意識や、「Speed is Power」を失くさないで欲しいですね。感覚はいかんせん感覚なので、言語化して伝えたり、説得して分かってもらうことが出来ません。この感覚は経験からしか生まれない。

 元リクは、人生のひととき、あの苦しくも楽しいオフィスでたくさんの異能に出会い、一風変わった経験をしたことで備えた感覚を武器に、世界中で地殻変動を起こしているのだと思います。

――伊藤さんの「日本初の(リクルートに)在職育休中の立候補」も一種の地殻変動だったのでは?

伊藤:たしかに。あの時は、「赤ちゃんがいるくせに選挙なんて」「退路を絶たずに在職立候補なんて」と、おびただしい数の批判が寄せられましたが、10年経った今、それらは大して珍しくなくなりました。人間って慣れるんです。

 まずは自分が突破口になり、日本社会の前例主義を逆手にとって、新しい当たり前をつくっていく力が、元リクにはあると思います。

 余談ですが、「2016年のトレンド予測」としてリクルートが「育自休暇」を挙げ、育休中は、児童を育てる「育児」のみならず、自分を育てる「育自」期間を生きることの重要性を発信してくれたときは、批判に晒されている最中だったので、本当に勇気づけられました。

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