高市早苗・首相の積極財政に死角はないのか(高市早苗・首相/時事通信フォト)
高市早苗首相が打ち出した総額21.3兆円の大型経済対策には、約12兆円の赤字国債発行が盛り込まれた。大メディアでは「財政破綻を招く」「インフレを助長する」「株安、円安、国債安のトリプル安を招き、金融危機につながる」との指摘がなされているなか、11月25日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)でコメンテーターの玉川徹氏、朝日新聞の原真人・編集委員と、高市内閣で政府の経済財政諮問会議の民間議員に起用された永濱利廣氏(第一生命経済研究所首席エコノミスト)が高市財政について激論を戦わせた。改めて永濱氏に日本の財政状況と高市首相の政策について問うた。
借金減らすより「稼ぐ力」を
──『モーニングショー』では、玉川氏らから「国債増発の借金財政は財政破綻を招く」という趣旨の指摘がなされた。
それはありません。日本の財政収支は過去30年間で最も改善しています。ストックで見た財政状況も改善しています。
財政状況を考える時は、借金の額(国債発行残高)そのものではなく、対GDP比(政府債務残高対GDP比)の指標で見る必要があります。この指標が上昇していれば財政リスクが高まっていることを意味しますが、下がっていれば財政の持続可能性は担保されます。
日本の政府債務残高対GDP比はアベノミクス開始時期から安定し、コロナショックで一時悪化したものの、現在はコロナ前を下回るまで急速に低下しています。インフレに伴う税収の増加と、名目GDPの拡大によって相対的に債務の比率が下がっているのです。
