おけいどん氏は投資からどのような影響を受けたのか(イラスト:西田ヒロコ)
日本政府が「貯蓄から投資へ」の方針を掲げた2001年から四半世紀近くを迎え、2024年の新NISAスタートで貯蓄から投資への流れが加速している。その一方で、「投資に興味はあるけれど眺めているだけ」「NISA口座をつくったけれど利用していない」という人も少なくないようだ。リスク資産を保有することの不安、現金志向、忙しくて投資の勉強ができない……など、「投資をしない理由」はさまざまだが、「投資は怖いものでも、難しいものでもない」と言うのは、日米など世界の高配当株・増配株に長期投資して資産2.2億円を築いた投資家・おけいどん(桶井道)氏だ。
「秀でた才能も知識も体力もなく、何者でもない『普通の人』代表である私にできたのですから、みなさんにもできます」
そう語るおけいどん氏は、会社員生活25年の間に資産1億円に到達し、2020年に47歳で退職。その後も投資を続け、資産は2.2億円に増えている。おけいどん氏にとって投資とはいかなる存在なのか。“普通の会社員”が投資で億単位の資産を築く“億り人”になるまでの道のり、投資が仕事や生き方に与えた影響について、同氏が振り返る。
おけいどん氏が2024年12月末に出版した著書『普通の人のための投資 いちばん手軽で怖くない「ゆとり投資」入門』(東洋経済新報社)より、一部抜粋・再構成して紹介する。
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投資には、お金を増やして生活を豊かにする以外に、別の恩恵もあります。投資と真剣に向き合うことで、ビジネスパーソンとしても成長することができるのです。私の実体験をお話ししましょう。
そもそも私は、人より勉強ができるわけでも、運動神経がいいわけでもなく、いわゆる凡人として生活してきました。小・中・高校生のころは身体が弱く、年間欠席数が2桁は当たり前でした。高校の授業では、よく居眠りをしていました。
大学には進学できましたが、だからといって何かが大きく変わるわけでもありません。本当に「平凡」という言葉がしっくりくる学生で、人に誇れるような特技はありませんでしたし、バリバリお金を稼げる企業に内定をもらえる可能性も、残念ながらまったくありませんでした。そんな私ですが、なんとかある会社に潜り込むことができました。もちろん、給料は安かったです。
社会人1年目の私は、本当に冴えないサラリーマンでした。鈍くさいし、仕事の覚えは悪いし、覚えたところで仕事が遅いし、目立った営業成績を上げるわけでもないのに口だけは達者。振り返ると、相当イケてなかったと思います。
年間予算、半期予算、月予算、そして前年対比……毎日が「数字」との戦いで、社会人になって早々に自信を失いました。不安から空回りしてしまうことも多く、これから会社で通用するのか、やがて部下を持つようになったらちゃんとマネジメントできるのか、60歳定年までやっていけるのか……と、まったく先の見えないサラリーマンだったのです。
ちなみに、桶井道(おけいどん)というペンネームは、「鈍くさい」の「どん」から名付けました。自分を卑下したいわけではないものの、そう名付けるのがぴったりな人間だったのです。
