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和田秀樹医師が見てきた“やり残した後悔”を語る高齢者たち 「元気なうちにもっとお金を使って楽しんでおけばよかった」…人生最後の満足感を変える“お金と健康の考え方”

最後に自分を取り戻す

 健康に関しては、数値を気にしすぎないことが大事だと和田医師。

「日本の医療では基準の数値から少しでも逸脱するとすぐに投薬や指導が行なわれ、『本人がどう感じているか』『日々を快適に過ごせているか』という主観的な面は後回しにされがちです。
 
 数値が多少高くても好きな食事を楽しみ、元気に外出するほうが免疫力や気力を高め、健康寿命が延びるケースも多いのです。例えばコレステロールは免疫細胞『ナチュラルキラー細胞』のもととなり、コレステロール値が高いほうががんになりにくいことも分かっています」

 酒やタバコも無理にやめる必要はない。

「近年の肺がんは喫煙よりもPM2.5や排ガスなどの大気汚染が疑われる腺がんが増えています。70歳を過ぎても体調に影響がないなら無理に喫煙をやめなくてもいいと考えます」

 夫婦で本当にやりたかったことにチャレンジしてみるのも残りの人生を豊かにする。

「老後は自分を取り戻す絶好のタイミングです。本当の自分は何をしたかったのか、心の奥にしまっていた願いはないか、後悔のない人生を送るために自分の本心を押し殺さずに認めましょう。私は末期のすい臓がんを疑われた経験から、かねてよりの夢であった大作映画制作にチャレンジしたり、体が自由に動くうちにやりたいことを全部やっておくことを実践しています」

 あと10年と考えるか、まだ10年あると考えるかで人生最後の満足度が大きく変わる。

※週刊ポスト2026年1月2・9日号

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