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和田秀樹医師が見てきた“やり残した後悔”を語る高齢者たち 「元気なうちにもっとお金を使って楽しんでおけばよかった」…人生最後の満足感を変える“お金と健康の考え方”

30年以上にわたり高齢者医療に携わってきた和田秀樹医師

30年以上にわたり高齢者医療に携わってきた和田秀樹医師

 老後の医療費や生活費は案外、出費が少ない。老後資金をマジメに貯めてきた高齢夫婦が、人生の満足感を高めるために最後の10年ですべきことはどうやら「我慢をしないこと」のようだ。精神科医の和田秀樹医師が提言する。

高齢者が死ぬ間際に語る「人生の後悔」

 精神科医として30年以上にわたり高齢者医療に携わってきた和田秀樹医師は、死ぬ間際に人生でやり残した後悔を語る高齢者をたくさん見てきたという。近著『医師しか知らない死の直前の後悔』(小学館新書)を11月に上梓した和田氏が改めて言う。

「高齢患者と接していると、『もっと家族と旅行に行っておけばよかった』『好きなことをやっておけばよかった』と語る方が非常に多い。日本では我慢は美徳とされ、今を犠牲にする風潮があります。しかし、“あとでいいことがある”の“あと”が必ず訪れるとは限りません。

 老後は夫婦でゆっくり海外旅行をしようと思っても、歳を重ねれば体力も気力も落ちてきます。一緒に楽しもうと思っていた配偶者もいつまでも元気とは限らない。歳を重ねるというのは、毎日死に近づいていること。それを忘れてはいけません」(以下、「 」内は和田医師)

 残りの人生に夫婦でどう備えればいいのか。まずはお金の考え方だ。

「老後資金を心配する人が多いですが、高齢の方からは『元気なうちに、もっとお金を使って楽しんでおけばよかった』という声のほうが圧倒的に多い。我慢しているうちに、お金を使いたくても使えなくなる人が多いのです。お金は使うほど幸福感が高まります。私は高価なワインなら友人と開けることで喜んでもらえ、家に置いておくよりも価値があると考えます」

 かといって、無計画にお金を使ってしまうのは避けたい。頼りになる公的制度を把握しておくことも重要だという。

「制度を知ったうえでお金を使うことが大切です。例えば医療費や介護費用は公的保険でほとんどカバーできます。配偶者が病気や認知症で介護が必要になった時、高額療養費制度や健康保険、介護保険で実際にかかるお金は予想より少ない。生活費についても歳を重ねるにつれ出費が減っていくという事実を知っておきましょう」

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