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《足元に迫る医療崩壊》全国で赤字に苦しむ公立病院が続出 人件費や設備費のカットが「医療の質」の低下を招く懸念 青森県の震度6強地震では「老朽化対策の遅れが地域医療を寸断」

医療の質の低下による死亡率上昇の懸念

 より深刻なのは、経営難が「医療の質」に影響する可能性だ。

「赤字経営が常態化すれば、まず人件費や設備費のカットが検討されます。経営状況の悪化と医療の質の低下に相関関係があることは、学術的にも多くのデータで裏付けられています」(室井氏)

 例えば米ペンシルベニア大のリンダ・エイケン博士らによる研究では、「看護師1人が受け持つ患者が増えるごとに、患者の死亡率が7%上昇する」という衝撃的なデータが示されている。

「日本でも同様の研究が行なわれており、人員不足や過酷な労働環境が医療の質を低下させることは、今や専門家の間では定説です」(同前)

 各地で頻繁に報じられる医療過誤事件の原因はケース・バイ・ケースで、十把一絡げに「経営難が引き起こした」とは言えない。だが室井氏は、「人員不足による夜勤の増加、医師による患者の状況把握不足といった病院全体の構造的な問題が潜んでいる可能性は否定しきれない」という。

 奇しくも12月8日の青森県東方沖を震源とするM7.5の地震では、経営難の病院の設備面の問題が浮き彫りになった。

 最大震度6強だったものの、地震による死者はゼロ(2025年12月17日時点)。電気・ガス・水道などのインフラも壊滅的被害は免れたが、被災地域の公立病院のなかにはスプリンクラーの破損や漏水による入院患者の転院、外来停止といった深刻な事態が生じた施設があった。

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