下味調理を提案する、理研の「パッとジュッと」シリーズ
理研の開発者は育児を担う男性社員
一方で、2025年に登場した理研ビタミンの下味冷凍用おかずの素「パッとジュッと」を開発したのは、同社男性社員の菊子拓真氏だ。同社の調査でも、特に共働きで子育てをする世帯では「疲れた時・忙しい時のメニュー決めや下ごしらえの手間を省きたい」「まとめ買いや節約食材を有効活用したい」といった声があった。
菊子氏自身、保育園に子どもを迎えに行き、夕食を作る。週末にまとめ買いした肉を冷凍し、平日に簡単に手早く調理できないかと頭を悩ませる日々――そんな実体験から、「仕込んでおけば、焼くだけで一品完成する」商品構想が固まっていったという。
「解凍も不要で、フライパンで焼くだけでおかずができるというタイパニーズに対する特徴と、リーズナブルだけどパサつきがちな鶏むね肉でもしっとりジューシーに食べられるという節約ニーズに対する特徴を持った、下味冷凍用おかずの素を開発しようと考えました」(菊子氏、以下「」内同)
昨今の物価高で、より強まっているのが節約ニーズだ。前出・正田醤油の青田氏も「節約志向の影響もあり、ひき肉を特売日に大容量パックで購入する方の支持も得ている」と語ったが、理研も“タイパニーズ”と“節約ニーズ”を同時に満たす商品づくりを意識したという。
冷凍のままでも「ジューシー」に焼き上がるノウハウ
「パッとジュッと」の最大の特徴は、冷凍した肉をそのままフライパンで焼いても、“しっとりジューシー”に仕上がる点にある。それを実現したのは、理研ビタミンが培ってきた技術とノウハウだ。
「弊社はBtoB事業で『食品改良剤事業』という、食品の食感や美味しさを改善する原料の販売を行っています。その中に冷凍食品やハムなどの畜肉加工品を改良する商品やノウハウを持っていました。その技術と調味料開発のノウハウを融合することで、『パッとジュッと』に使われている肉ピタソースが開発されました」
