ここまでの4つのキーワードは各私立大学に特色と存在意義を求めるものだが、第5のキーワードは「100法人への経営指導」とかなり直接的な内容となっている。
具体的には「経営が困難になる学校法人の増加に備え、経営改革システムの実効性を担保するため、文部科学省・私学事業団の指導・助言機能を強化し、経営指導の対象とする法人数を拡大(100法人程度)する」というのだ。
改善策が機能しなかった場合の縮小・撤退や学部改組の条件の厳格化などにも触れており、実質的な「破綻予備軍リスト」づくりである。
大学改革の取り組みを急がせる背景には何があるのか
ここまで主要な5つのキーワードから真意を探ってきたが、一方で文科省は「アメ」も用意している。地域で必要とされる人材を育成や研究力の向上、理工農系への転換といった文科省が描くシナリオに沿って改革を進めた大学には私学助成金を手厚くするとしているのだ。
提言書はまさに私立大学のサバイバル戦の号砲でもあるが、その動きは予想以上に早い。
検討会議は大学進学者が急激に減り始める2030年までに「社会の人材ニーズに合致した規模の適正化と質の向上を計画し実行する大学を重点的に支援する仕組みの整備」を政府に注文づけているからである。
進学者が少なくなるにつれて少しずつ大学数が絞り込まれていくのではなく、5年後を皮切りに、多くの私立大学が姿を消す可能性もある。大学側にしてみれば、生き残りを図るための猶予が5年しかないとも言える。
大学に改革の取り組みを急がせる背景には、大学の淘汰といった問題だけにとどまらない事情がある。人口減少による人手不足とAI技術の発展にともなう就業構造の変化への対応の遅れだ。