テスラの人型ロボット「オプティマス」(写真:時事通信フォト)
自律的に行動・作業するロボットなど、物理的に活躍する「フィジカルAI」がすでに実用段階になってきている。次なる成長分野として株式市場でも注目が集まるフィジカルAIには、どういった企業が関わっているのか。産業の景色を一変させるといわれるその影響はどこまで広がるのか、個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が分析し、解説する。
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ロボットが自ら考え、物理世界で動く「フィジカルAI」。そのフェーズは今、実験段階から工場での「実稼働」へと完全に移行した。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOが「自動運転とロボティクスは数兆ドル規模の成長機会」と断言した通り、2024年から2025年にかけて起きた変化は劇的だといえる。 2026年、産業の景色はどう変わるのか。投資の視点でフィジカルAIの最前線と注目企業の取り組みを解説する。
「研究対象」から「現場戦力」の実用レベルへ
【Tesla(TSLA)、Figure AI(未上場)】
人型ロボット(ヒューマノイド)がついに工場のラインに立ち始めた。米国ではTeslaとFigure AIが先行し、量産体制の構築を急ピッチで進めている。
Teslaは、AIの進化と製造コストの低減を武器に、人型ロボット「ヒューマノイド」開発へ意欲的な計画を掲げている。イーロン・マスクCEOは2025年の株主総会で、「2026年には社外顧客向けに本格的な量産を開始する」との野心的な見通しを示した。社内でのバッテリーセル仕分けや部品運搬といった単純作業から導入を進めており、将来的には1台あたり2万~3万ドル(約300~450万円)での販売を目指している。これが実現・導入されれば、先進国の人件費と比較して極めて短期間での投資回収が可能になる。これにともなって、モーター、減速機、センサーの需要爆発が予想され、日本企業ではハーモニック・ドライブ・システムズやミネベアミツミなどが恩恵を受ける可能性がある。
新興のFigure AIも急成長している。2024年1月にBMWと商業契約を締結し、サウスカロライナ工場での実証を開始。 2025年後半のレポートによれば、人型ロボット「Figure 02」は数ヶ月にわたり、1日10時間以上のシフトで稼働、数万個規模の部品供給を行い、BMW X3の生産ラインで実用レベルの貢献を果たしたとされる。この実績を背景に、同社はNVIDIA、Intel Capitalなどから巨額の資金を調達した。評価額は2025年9月には390億ドルへと跳ね上がった。次世代機「Figure 03」では課題だった前腕部の耐久性を大幅に改善させている。
