お座敷宴席ではどんな靴下のデザインがよいか(写真:イメージマート)
多くのビジネスパーソンが「接待」「会食」の場に参加したことがあるはずだ。人物ルポルタージュや企業取材を数多く手掛けてきたノンフィクション作家・野地秩嘉氏は、そうした接待の場でこそ教養や人間力が試されると説く。
「2時間ほどの間に人を気遣うことができないビジネスパーソンが顧客や消費者を満足させられるとは思えない」とする野地氏が、接待のなかの“最高峰”とするのがお座敷の宴席だ。野地氏の著書では、ある飲料メーカーの老賢人経営者の「伝統芸」としてお座敷宴席の作法が記されている。野地氏の新刊『一流の接待』より一部抜粋、再構成して紹介する。
* * *
さて、予約当日。ホストは早く来ているわけだから、先に部屋に通される。部屋に入る前には玄関に下足番がいる。汚れた靴、きたない靴下でお座敷に行ってはいけない。それは靴を脱ぐ飲食店を訪れる際のマナーだ。女性の場合、素足はよくない。ストッキングを着用することだ。それはスリッパに汗がつくからだ。
お座敷宴席の何たるものかをよくわかっている人は会社で靴下を穿き替えてから宴席に臨む。また、その時には靴下のデザインまで気にする。ビジネスパーソンは黒の靴下が多い。だが、わたしはお座敷宴席での靴下は派手なほうがいいと思う。クレイジーソックスのような派手な色や柄の靴下を穿いていって、それを話題にする。靴下の柄を話題にできる宴席があるとすればそれはお座敷だけだ。また、派手な柄の靴下が宴席で話題になったとする。それを手土産として用意しておけば、もらったほうは嬉しい。特に、自分自身では絶対に派手な靴下を買ったりしないタイプの人ほど喜ぶ。
ゲストが来るまでの待ち方
ここで覚えておかなくてはいけないのは、部屋に入ったホスト側はゲストが来るまでは座卓の前に座ってはいけないことだ。ゲストが来るまで、部屋の隅であぐらを組んで待つ。正座する人もいるけれど、足がしびれるからやめたほうがいい。また、相手を待つ間、座布団は敷いていい。
座っていると、料亭の仲居さんがお茶を持ってくるから、飲んで待っていること。手持ち無沙汰でなんとも間の抜けた風情だが、これは座敷宴会のしきたりだ。フランス料理店やイタリア料理店で着席しないで立って待っていたら異様な光景だけれど、畳の部屋の宴席では着座してはいけない。うなぎ、ふぐ、すき焼きといった店の個室で宴席を設ける時も同じようにする。
ただし、居酒屋の個室など、すごく狭い部屋、半個室の場合は入り口にいちばん近い席にホスト側が座って待てばいい。料亭の食事はもちろん和食のコースだ。品数は多いから、アレルギー、食べられないものがあったら、先に伝えておくこと。
