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キャリア
一流の接待

川淵三郎氏が森保一・サッカー日本代表監督を「接待もうまいんじゃないか」と評す理由 「がんじがらめに縛る指導よりもまず『聞く』こと」が求められる代表監督の資質は会食やゴルフ接待のあるべき形にも通底

まず「聞く」ことから始める

 世界各国を見ても、トップクラスの監督はあれこれと指示しない。それを見習ってゴルフ接待におけるレッスンもコース上では具体的なことをひとつだけにする。

「森保(一)監督は向いている。彼は接待もうまいんじゃないか。今ほど代表監督をやることが難しい時代はないからです。なぜならかつての時代、日本人でも外国人でも監督をする人はJリーグなど日本国内での指導経験が主だった。選手たちにとって必ずしも『世界レベルの監督』というイメージではなかったんです。しかし今は、選手たちの多くが日常的に欧州のトップリーグで、世界レベルの監督の下でプレーしています。そのため、選手たちは常に代表監督の指示や戦術を所属クラブの世界的な監督と比較します。『代表監督の言っていることは、うちのクラブの監督と違うな』とか『このやり方はおかしいんじゃないか』と思われたら、もう信頼を失ってしまう。

 代表監督はその状況を十分に理解したうえで、選手に何をどう求めていくか考えなければなりません。昔のように『こうしろ、ああしろ』と一方的に型にはめようとしたり、逆に、普段クラブで比較的自由にプレーし特定のポイントだけ要求されている選手に対して、代表でがんじがらめに縛るような指導をしたりしたら、チームとして機能しなくなる。森保監督の優れている点は、まず選手たちの意見や考えをよく聞いたうえで、それを踏まえて総合的に判断し、『こういう方向で行こう』という指針を示すところ。まず『聞く』ことから始めているわけですね。

 会食やゴルフの接待も同じことです。ホストはああしてください、この料理がおいしいですよと一方的に言うのではなく、まず、相手から好みを聞くこと。接待とは相手の好みを聞くところから始まるんです。

 サッカーの話に戻りますが、選手にとっていちばん面白くないのは、やはり試合に出られないこと。試合に出られなくて満足している選手などいませんから、出場機会の少ない選手へのケアが非常に重要です。森保監督はそれも十分にやっている。たとえば日本に来たブラジル人の監督は、レギュラーと認めた選手とそれ以外の選手とでは、接し方にはっきりとした区別をつけるんです。練習はレギュラー組中心です。それ以外の選手にはあまり細かい指示はしない。選手は自分がレギュラーでないとチーム全体の流れを把握しきれない側面がある。

 しかし森保監督は、出番の少ない選手にも目を配り、チャンスがあれば起用します。現に、試合ごとにメンバーをガラッと変えることがありますよね。そういった選手へのケアがうまいからこそ、森保監督は通算で7年も代表監督を務めているんです」

※『一流の接待』(小学館新書)より一部抜粋・再構成

【プロフィール】
野地秩嘉(のじ・つねよし)/1957年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業後、出版社、美術ギャラリー勤務を経てノンフィクション作家に。『TOKYOオリンピック物語』でミズノスポーツライター賞受賞。日本文藝家協会会員。『キャンティ物語』『サービスの達人たち』『サービスの天才たち』『高倉健インタヴューズ』『トヨタ物語』『警察庁長官 知られざる警察トップの仕事と素顔』『伊藤忠 商人の心得』『東映の仁義なき戦い 吹けよ風、呼べよ嵐』『セカストの奇跡 逆襲のゲオ』など著書多数。

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