チップの金額も“値上がり”しているという(写真:イメージマート)
日本人ではあまり馴染みのない“チップ文化”だが、これまでアメリカをはじめいくつかの国では当たり前の習慣として知られてきた。ところが、最近では、海外でもチップ文化への疑問が生じることがあるという。中学高校時代に5年間、アメリカに在住経験のあるネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、当時と比べて“値上がり”しているアメリカのチップ文化に物申す。
「店へのチップ20%」に加えてウェイターにも別払い?
3月末に、ベネズエラ出身のジャーナリストがXへ投稿した、米フロリダ州マイアミのステーキハウスでのチップをめぐる騒動が、300万回以上表示されるなど、注目を集めています。会計時、すでに20%のチップがレシートに加算されていたのですが、ウェイターは「このチップは店のもので、自分に対しては別に払ってくれ」と言ったのだといいます。リンコン氏は、追加チップを払わなかったことを明かしたうえで「このチップ文化はもう制御不能だ」と投稿しています。
仮にリンコン氏が、店へのチップとは別にウェイターへ20%のチップを渡したら、合計40%がチップとなる計算です。そりゃあないでしょうよ……。1ドル=160円だとして、たとえば200ドル(3万2000円)の飲食代で、すでに店へのチップで40ドル払ったうえに、ウェイター本人に40ドルを払ったら、チップだけで80ドル(1万2800円)ですよ。飲食店の「サービス」にカネを払う側面があるのは理解できるものの、基本的には「食べ物」にカネを払う場所です。
私自身、アメリカは好きな国のひとつですが、昨今の物価高と円安から、わざわざ今行くという選択肢はありません。そして、そこにはチップ文化の影響も少なからずあります。本来、サービスに対する満足度を示す形として、総会計から10~15%ほどの現金をテーブルに置くという文化はありました。それが今のアメリカでは「20%が当たり前である、キリッ」的になっている。そのうえで、「店がチップを強制的に20%徴収したうえで、給仕人本人がチップを要求する」という地獄のような展開が起こっているわけですよ。
いやさ、愛想の悪いウェイター・ウェイトレスになんで20ドル札を渡さなくてはいけないの? 先ほどは少し遠慮して書きましたが、正直、旅行先としてアメリカを選ばない理由のトップに「チップがあるから」と言っても過言ではない。何しろ不快なんですよ。積極的にチップを払いたくなるほどのサービスならいいのですが、どちらかというと「サービス精神皆無のくせに、慣例として20%が払われて当然という態度をされる」、そんな経験が積み重なるばかり。
