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「自己紹介」はなぜ面倒くさくなったのか

若者の間では性格診断「MBTI」が自己紹介の定番化…かつての「動物占い」ブームと何が違う? 令和の自己紹介がどんどん表面的なものになっていく事情

社会で量産される「自分を出さない」人たち

 さて人々の趣味はどんどん細分化し、マニアックになっている。だから、言うのが怖い。好きなものだからこそ、「否定」されたくないのは当然の心理である。仲間うちはともかく、“その界隈”では楽しい会話になるが、まったく知らない人に話すのは勇気がいる。

 ゆえに、令和の自己紹介は、どんどん表面的なものになる。私などは、音楽は共通の体験だと思い、どんな音楽を聴いているのか、根掘り葉掘り話しかけてしまうのだが、学生たちは最初は何も話さない。ただ、よくよくきくと、ライブには通っているし、ヘビロテする曲もある。それをさらけ出す勇気がない。

 結局、社会で自分を出せない人が量産されていく。いや、出せないのではなく、「出さない」のだ。面談でも、面談用の人格でのぞむ。ゆえに、面談では和気あいあいとしていたのに、翌週になって退職代行から電話がかかってきたりする。こちらはびっくりだが、向こうにとっては「それはそれ、これはこれ」でしかない。

 もしかすると世代問わず全員が自己紹介にのりきれない時代、なのだと思う。そもそも、紹介するための共通体験がなかなかない。そして、若者は自己紹介というものにストレスを感じるくらいなら、便利な性格診断を活用し、“職場でのよろい”をまとって、“いい感じ”に働きたいのだ。そうした時代に、私たち上の世代はどう向き合えばいいのかを考え続ける日々である。

■前編記事から読む:就活でパターン化した自己紹介を“若者の劣化”と片付けてよいのか? SNSのアカウントごとに自分を使い分ける時代の“自己紹介の面倒くささ”

【プロフィール】
常見陽平(つねみ・ようへい)/1974年生まれ、北海道札幌市出身。1997年3月、一橋大学商学部卒業後、株式会社リクルート、株式会社バンダイ等を経て、2012年4月に一橋大学大学院社会学研究科修士課程に入学。修了後、2015年4月に千葉商科大学国際教養学部専任講師に就任、2020年4月准教授、2025年基盤教育機構准教授、2026年教授となり現在に至る。大学で教鞭を執る傍ら評論家として活動し、40冊以上の書籍を発表。雇用・労働に関連した政府の委員を歴任。主な著書に『日本の就活』(岩波新書)、『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社新書)、『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版)、『50代上等!──理不尽なことは「週刊少年ジャンプ」から学んだ』(平凡社新書)など。

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