閉じる ×
閉じるボタン
有料会員限定機能の「クリップ」で
お気に入りの記事を保存できます。
クリップした記事は「マイページ」に
一覧で表示されます。
マネーポストWEBプレミアムに
ご登録済みの方はこちら
小学館IDをお持ちでない方はこちら
大竹聡の「昼酒御免!」

【大竹聡の昼酒御免!】「究極のセンスを感じる」フラッと遠足気分で訪れた「江の島のオーセンティック・バー」で“2打席連続マティーニ”に自問自答する春の昼下がり

絶品マティーニに添えられた2種類のオリーブには秘密が

絶品マティーニに添えられた2種類のオリーブには秘密が

 お酒はいつ飲んでもいいものだが、昼から飲むお酒にはまた格別の味わいがある――。ライター・作家の大竹聡氏が、昼飲みの魅力と醍醐味を綴る連載コラム「昼酒御免!」。連載第23回は、春の陽気に誘われて絶品カクテルを楽しむために江の島(神奈川県藤沢市)まで遠出してみた。【連載第23回】

 * * *
 ある春の日の昼下がりのことである。くたびれた初老の男がひとり、ふと思い立って駅前からバスに乗った。小田急多摩線の新百合ヶ丘駅で藤沢行きに乗り換え、藤沢でさらに乗り換えて片瀬江ノ島に着いたのは、もう3時半近くだった。家を出てから、なんだかんだで2時間。ちょっとした遠足を楽しむ初老の男は私である。

 午後3時にオープンする「Bar d(バード)」までは改札口から1分とかからない。境川が片瀬海岸に注ぐ河口のあたりに店はある。よく晴れて暖かな日だったので、しばし海岸を歩いてもよかったが、足はバーへと向かっていた。

 そう、ここはオーセンティック・バーである。しかし、湘南という土地柄のためか、カジュアルで堅苦しくはない。迎えてくれるのはオーナーバーテンダーの田辺武さんだ。この人の酒の知識、カクテルの技術、楽しい会話力、どれをとっても当代随一だと、私は思っている。だから、海岸の散歩などしている暇はないし、江の島へ渡ってシラス丼を喰ってる場合ではないのである。私の口は、駅で電車を降りたときにはもう、あの、絶妙のジンフィズを待ち受ける状態になっているのだ。

窓際のソファ席では景色も楽しめる

窓際のソファ席では景色も楽しめる

 田辺さんに会うのは久しぶりである。1年半くらいのご無沙汰か。お互いに、やあ、久しぶり、という表情で挨拶を交わしたら、さっそくカウンター席について、注文を一言。

「ジンフィズ、ください」

 そう言ってから振り返ると、大きな窓の向こうに境川が見える。窓際のソファ席で川の流れを見ながら飲むのも魅力的だが、私はやはり、田辺さんの所作をじっくり眺め、酒に関する質問をし、とりとめもない世間話をしながら飲むのが好きだ。

次のページ:早くもこれから頼む2杯が決まる

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。