積水ハウス55億円詐欺事件「地面師たちの人物相関図」
カトウは会社員だったが、30代で不動産ブローカーとして独立。その後借金に追われ首が回らなくなり、知人に紹介されたのが当時70代だった地面師の男性だった。その男性を介して、積水詐欺事件に関わり実刑判決を受けた松田博(同48歳、仮名)を紹介された。多くの地面師に偽名があることも知り、いつからか偽名の「カトウ」を名乗るようになる。
カトウの最初の“大仕事”は2016年12月。当時、海喜館の地主だった海老澤佐妃子氏(故人)になりすます、役者女性との面接だった。
積水詐欺事件では、松田がカトウを介し、手配師である浅川恵子(同74歳、仮名)に、なりすましの女性を用意させたとされる。カトウは松田の指示のもと、浅川が手配した長谷川香織(同63歳、仮名)との面接に同席することになった。
「ドラマでは複数の役者候補を地面師ルームに招集し面接が行われていたが、実際は新宿駅構内の喫茶店のテーブルでやりました。長谷川は金に釣られてきた熟年のシングルマザーで、厳しい選考などが行われることなく“一発採用”でした。
長谷川に老舗旅館の女将のような品はなく、生活に疲れたみすぼらしさがあった。俺は長谷川に地主になりすますために誕生日や境遇を教え、面談では間違えず受け答えするよう説明しました」
続いてカトウは後日、長谷川にパスポートの発給申請書に地主の名前を“自署”させた。パスポートを偽造するためだ。
「私がオオノという偽名の男性から受け取った偽造パスポートは、何者かから買い取った真正のパスポートの表紙部分のみが偽造されたものでした。
松田に指示された場所でオオノからパスポートを受け取り、オオノが立ち去った後に改めてブラックライトを使って偽造防止のための『透かし』部分をチェックした時、『えっ!』とびっくりしました。自分のものと見比べると顔部分の透かしもぼんやりしているし、何より実物にはある丸い紋章のようなマークが、偽造品だと菱形だったんです。司法書士が確認したら一発で見抜かれると心配になりました」
時を同じくして、偽造の国民健康保険被保険者証も完成。カトウはその杜撰な作りもまた目撃している。
「保険証はマイクさんのチームが作ったもので、積水との交渉前は俺が管理を任されていました。こちらは一見すると本物に見えましたが、発行日の記載が、地主の海老澤さんの生年月日と全く同じに印字されてたんです。当時、小山さん(犯行当時のカミンスカスの苗字)に『これ、大丈夫なの?』とツッコんだら小山さんは『コピーは見せるだけで手渡さないから大丈夫!』と言ってたけど、結局、本決済時にコピーを渡しちゃいましたから。振り返れば何もかも、その場凌ぎでした」
