「自己資本比率」をどう見るか(写真:イメージマート)
どれだけ返済の必要がない資金で経営しているかを表す「自己資本比率」は、企業の財務体質の健全性を図る代表的な指標のひとつ。しかし、自己資本比率の低下が、経営の悪化に必ずしもつながるとは限らない。それをどう見分ければよいか。
音声メディア「voicy」で配信する「10分で決算が分かるラジオ」が人気の「妄想する決算」氏の新著『数字から企業の「リアル」がわかる! 未来を読み解く決算書』(高橋書店)より、「悪くない自己資本比率の減少」について紹介する(若手会社員・一ノ瀬君との会話形式で構成される同書より一部抜粋・再構成)。
自己資本を正しく理解して企業の考え方を知る
妄想さん:ところで、質問です。企業にとって自己資本比率が下がることは悪いことだと思いますか?
一ノ瀬君:もうわかったよ。預金とか預り金とかが増えて自己資本比率が悪化することもあるから「必ずしも悪いとは言えない」ってことでしょ。
妄想さん:自己資本比率は、状況によって意味合いが変わる指標なんです。
一ノ瀬君:ただ、一部の例外を除けば、自己資本比率が低いと危険性が増すし、基本的には「下がるのは悪いこと」なんじゃないかな。
妄想さん:本当にそうでしょうか? たとえば一ノ瀬君が飲食店を経営しているとして、ものすごくいい立地に空き店舗が出たとしましょう。そこに出店すれば高確率で儲けが出ると予測できているけれど、手元にはお金がないとします。そこで、銀行から借入れをして出店すれば負債の増加で自己資本比率は下がります。さて、これは悪いのでしょうか?
一ノ瀬君:それは悪くないね。
妄想さん:損益計算書の説明のときに「利益の最大化とは、長期視点での利益の最大化だ」と話したと思います。そのための先行投資期間には大きな赤字となることもあります。
妄想さん:赤字が出れば、株主資本が減少して自己資本比率は下がりますが、これは悪いことでしょうか?
一ノ瀬君:失敗したときのリスクは増しているかもしれないけど、悪いことではないね。
