ニコニコ超会議の配信者ステージ。根強いファンが集まる(2026年4月撮影)
YouTubeやSNSが情報や交流のインフラとしてすっかり人びとの生活に根付く一方で、ニコニコ動画はしばしば「オワコン」扱いされるが、その実態はどうなのか。前編では、ニコニコ超会議に第1回から通い続けてきたフリーランスライター・カメラマンの小川裕夫氏が、ユーザー同士をリアルで繋げる力がある超会議の最新の様子をレポートした。後編では、「インターネット老人会」と呼ばれ中高年だらけだと言われがちな、ニコニコ動画、ニコニコ超会議参加者たちの実態についてレポートする。【前後編の後編】
N高グループ文化祭のリアル会場として全国から生徒が集う
「インターネット老人会」という言葉がある。主に2000年代くらいまでのインターネット環境を懐かしむ世代を指す。インターネット接続はパソコンから、些細な疑問も次々と質問する相手には「ggrks(ググレカス)」と返信するような中高年ユーザーたちのことだ。
そしてニコニコ動画やニコニコ超会議が「オワコン」と揶揄されるとき、しばしばこの「インターネット老人会」という言葉がセットで登場する。
たしかにニコニコ超会議の会場には、初期から引き続き参加していると思しき50代の中高年は珍しくない。ただ、それは表層的かつ切り取られた一側面に過ぎない。近年の超会議の会場内は10代、20代が溢れている。むしろ中高年の参加者の方が少ない。
超会議への若者参加を後押している要因のひとつに、2016年に開校したN高等学校(N高)の存在がある。N高は学校法人角川ドワンゴ学園が設置する沖縄県うるま市に本拠地を置く通信制高校で、超会議には開校直後から参加しており、今ではN高グループ文化祭のリアル会場として全国から生徒たちが集う場になっている。
N高の授業はオンラインで受講できるため、生徒同士が日常的にリアルで顔を合わせることは少ない。文化祭でもオンライン企画が少なくないが、超会議ではリアルの物販飲食店、クラブ活動の発表や企画展示にコンテストなど、誰もが思い浮かべる高校の文化祭が行われている。
N高は、自分の特性を生かしやすく、また難関大学への進学実績が積み重ねられてきたことからポジティブなイメージが広まり、志願者が増加している。そのため、法律で定められた2万人の生徒数を超えそうになり、角川ドワンゴ学園は2校目の開校を模索、2021年にS高等学校(S高)を茨城県つくば市に開校した。それでも定員が超過しそうになったことから、2025年にR高等学校(R高)を群馬県桐生市に開校した。さらに2025年にはZEN 大学も開学している。それらのグループ校の文化祭が、ニコニコ超会議でも行われている。
ニコニコ超会議という名称で一般来場者が参加するだけでなく、N、S、Rの3つの高校に在籍する生徒、そしてZEN大学に在籍する学生が参加する。くわえて、生徒や学生らの友人や家族などが顔を見せ、そして来場ついでにほかのブースも見て回っている様子を実際に見ると、「老人会」とはほど遠い光景だ。様々なリアルのイベントが若年層の集客に悩むなか、超会議には若者たちが自然に集まっている。40代以上の中高年には、そこで新たに生み出されるカルチャーが理解しづらい面もあるため、生じた分断を衰退と受け止めてしまっている人たちがいるのだろう。
