まずはサッポロラガーから。瓶ビールの気分なのだ
お酒はいつ飲んでもいいものだが、昼から飲むお酒にはまた格別の味わいがある――。ライター・作家の大竹聡氏が、昼飲みの魅力と醍醐味を綴る連載コラム「昼酒御免!」。連載第26回は、老若男女に愛され名店も多い三軒茶屋で、女将や作家との思い出を胸にしっとり飲んだ。【連載第26回】
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飲みたいときがうまいとき。そんなことを呟きながら、毎日、酒を飲んでいる。それでも朝が遅い生活をしているので、こう見えて朝酒は飲まない。というより、眠っているから飲めないというのが正確だ。ただ、明け方までちびちび飲んでいることが多いわけだから、昼頃に飲む酒というのは私にとっては朝の酒ということになる。
だから、この「昼酒御免!」には、「朝から飲んじまってすいません!」という側面もあるのです。いやいや、そんなことはどうでもいいのでした。飲みたいときがうまいとき。ずっとそう思っている。それだけのことだ。
このたびの「昼酒御免!」では、三軒茶屋の「割烹 味とめ」を訪ねた。5月23日の午後だった。三茶の駅に着いたのが午後2時半。つまり、この日このときが、飲みたいときであり、うまいとき、なのだった。
このすずらん通の看板を見つければお店はすぐそこだ
店に着いたら、すでにほぼ満席。2人掛けのテーブルが空いていたのは、とても幸運なことだった。
まずはビールだ。サッポロラガーをいただこう。理由は定かでないが、瓶ビールの気分なのだ。この店に来るのは何年ぶりだろう。初めて来たのは、『古典酒場』という雑誌の取材のときだった。編集長の倉嶋紀和子さんと一緒に、坪内祐三さんのお話を伺いに来た。もう20年くらい前になる。それ以降、ひとりで訪ね、誰かをお連れする形でも訪ね、ひとりのときは静かに、誰か一緒のときには賑やかに飲んできた。訪ねてくるお客さんをみんな友達として引き合わせてしまう不思議な魅力をもった、世話好きで優しい女将さんが好きだった。

