やむを得ない事情なのだけど…(イラスト/大野文彰)
やむを得ない事情で電車が遅れて会社や学校に遅刻した際、遅延証明書の提出を求められることがある。では、単発のバイトで仕事に遅れた場合、遅延証明書を出せば遅れた分を減額されずに給料をもらうことは可能なのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
人身事故の影響で電車が止まり、単発バイトに1時間30分ほど遅刻しました。会社には遅延証明書を提出したのに、支払われた給料に遅延した時間分は含まれていませんでした。
やむを得ない事情なのに納得できません。遅延証明書があっても、遅刻した時間分の給料はもらえないのでしょうか。(埼玉県・52才女性・アルバイト)
【回答】
単発バイトとは日雇い労働で、1日限りの労働を提供し、賃金をもらう働き方です。その場合でも労働基準法の適用があるので、使用者は労働条件を明示する義務があります。
明示の方法は電子メール等でもでき、あなたはスマホ等で労働条件を確認していると思います。明示される条件には「賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切・支払の時期に関する事項」があります。遅刻による減給について記載があれば別ですが、その記載はなかったのではないかと思います。
あなたは約束の賃金額を約束の労働時間で割って時間当たりの金額を計算し、これに遅刻時間をかけて算定される金額が控除されたと推測します。
もし控除額がこの計算した額を超えていたり、遅刻した時間分だけ遅くまで働いたのに減額されたとすれば、不当ですから不足分の支払いを請求できます。
こうしたことがなければ、遅延証明書があるからといって当然のように賃金全額の支払いを求めることはできません。
