食料品の消費税率をゼロにすることが、自民党の公約だったはずだが…(高市早苗・首相/時事通信フォト)
疑惑渦中の高市早苗・首相が前のめりになるのが、消費税減税の実現だ。支持率維持のために減税を実施したい首相を前に、財政規律を重視する財務省が一見、折れたかに見える。しかし、財務省はすでに周到に策を張り巡らせているという。食品消費税1%の実現の代償として、国民は何を奪われることになるのか。その“企て”を暴く。
「来年4月の統一地方選前」がタイムリミット
高市首相が国会で「公約を実現したいという強い思いを持っている」(6月4日の衆院予算委員会)と改めて消費税減税の実施を表明し、新聞各紙は「消費減税、来年4月から開始へ 税率は1%軸」などと一斉に報じた。
自民党政調筋が舞台裏を明かす。
「党内には減税慎重論も強かったが、総理としては秘書の中傷動画問題で足元に火がついているだけに、ここで減税公約を撤回して支持率が下がれば党内から不穏な動きが出かねないと警戒している。そこで官邸は来年4月の統一地方選前に公約の消費税減税を実現させ、地方での自民党の議席を増やして党内基盤を盤石にする方針を定めた」
図らずも中傷動画スキャンダルが首相を減税の実行に走らせているというのだ。逆に言えば、高市首相にとっては統一地方選が始まる「来年4月」が消費税減税実施のタイムリミットになる。
それまで消費税減税の議論をほとんどしていなかった社会保障国民会議でも慌ただしく議論が始まった。
各党の税調会長などがメンバーの国民会議実務者会議(6月3日)には、高市首相の食品税率ゼロに関する発言をまとめた資料や、システム改修にかかる期間について税率ゼロの場合は「最大10か月~1年程度」、税率1%の場合は「最大5~6か月程度」などとする参考資料が突然提出された。
「税率1%や来年4月実施が決まったかのように報じられ、なかには実務者会議の資料が事前に流出していたかのような報道もあったが、実務者会議での議論は全くまとまっていない」(実務者会議に参加する日本保守党の北村晴男・参院議員)
高市首相は前述の予算委員会で消費税減税の法案について「次の国会で、できるだけ早く改正案を出したい」と答弁し、秋の臨時国会で減税法案を成立させる構えだ。来年4月に実施するには猶予は半年しかない。
実務者会議に提出された「税率1%」なら改修期間5~6か月という資料は、まるで役所側が首相の足元を見て公約の食品の税率ゼロを諦めさせ、税率1%に誘導するような内容なのだ。
