飛躍的に進化した演出とそこにはらむ大きなリスク
エンタメ誌記者のYさんは、近年のコンサート事情についてこう解説する。
「ここ10年ほどでコンサートの演出は飛躍的に進化しました。かつては大型ビジョン、パイロ(花火や火薬)、スモーク、銀テープなどが中心でしたが、最近ではアリーナクラスの会場を埋めるアーティストとなると、LEDステージ、プロジェクションマッピング、ドローン、キネティックライト、同期型のリストバンドなど、演出はどんどん増えていて、テクノロジーの進化には驚くばかりです。
しかし一方で、音楽面への影響も少なくありません。1曲ごとに細かい演出が設定されているため、急な曲順変更や差し替えは非常に難しくなっています。曲と演出をリンクさせるため、ドラマーはクリック(メトロノーム)を聞きながら叩くので、観客の熱量に合わせてテンポを上げたり、逆にテンポを下げて曲に抑揚をつけたりすることも出来ません。アドリブなんてもちろん無理。曲を止めて煽りを入れるのはライブの醍醐味ですが、それも“演出の一部”ということになります。
また、特殊効果がリスキーなのも事実です。実際、私が会場に足を運んだカリスマ女性アーティストの来日コンサートで、巨大LEDスクリーンの一部が消えてしまった上、代表曲のサビで映像と音がズレてしまい、盛り上がりに水をさされたことがありました。上手くいけば没入感は最高ですが、失敗すれば客席が一気に冷えるという意味では、ハイリスクハイリターンな要素と言えそうです」(Yさん)