最後は「自己責任」という言葉で泣き寝入りさせる
こうしたケースで、多くの被害者は「自分で選んで買った」と思ってしまいがちです。しかし実際には、損失を取り戻して解決したように思わされて、高額な投資に持って行かれています。まさに担当者の語る「5倍、10倍になる」や「絶対」の言葉はそのことを示しています。
一般論として、業者の側は、言葉巧みに誘導しながら、すべての金を使わせて身ぐるみ剥いだ後は「自己責任」という言葉で、泣き寝入りさせようとする傾向があります。
A社は金融庁に無登録の業者です。その点を城田さんは尋ねています。すると担当者は「こちらは直接お金を預かるのではなくて、アドバイスや操作方法を教えています。あくまでもサポートをしているだけの役割なので、金融庁への登録は必要ないので、していません」と言います。
しかし詭弁です。城田さんが交わした契約には「利益の1%」をA社に支払うとあり、実際に投資の勧誘をしているので、金融庁への登録をする必要があるはずです。“アドバイスをしているだけだから、金融庁の登録は必要がない”との主張には首をかしげざるを得ません。
城田さんは「いろんな知識を学んでから取り組むことが大事で、業者に言ったことを鵜呑みにしてお金を出してはいけなかった」と深く反省をしています。
いつ私たちのもとに、詐欺的な投資勧誘がやってくるかわかりません。業者の言葉を鵜呑みにせず、自分自身もどのようなリスクがあるのかを理解し、しっかりとした知識をもったうえで、お金を出すことが大切です。
【プロフィール】
多田文明(ただ・ふみあき)/詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。『ついていったらこうなった』(彩図社)はテレビ番組化。また、旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。近著に『人の心を操る 悪の心理テクニック』(イースト・プレス)がある。