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芸能人・著名人の相続・終活

「100点を目指す必要はない」風見しんごさんが振り返る“父の遠距離介護” 「父が記憶を失っていく分、家族が父の記憶を増やして、施設のスタッフに伝えるのが僕の役割だった」

環境を激変させない

 そのうち母の死すら忘れるようになり、さすがに自宅で看るのは限界だと感じました。

 施設選びの際にまずやったのは、「ショートステイ」です。自宅以外に泊まることに慣れるという点でショートステイには意味があったと感じます。

 また、施設を選ぶうえで大切にしたのは、「環境が激変しない」こと。地方で生活している人をいきなり都会の施設に連れてくるといった形はやめたほうがいいと、医師からも助言がありました。

 そこで選んだのが実家の隣町の施設。周りの景色が似ていて、父が気に入って通っていた居酒屋さんの近くでした。入居後に混乱もなく、父の施設暮らしはスムーズに適応していったと感じます。

 施設の方は本当によくしてくださいました。父が町工場を経営していたことを話すと、「社長」と呼んでくれて。その言葉で父の気持ちが和らぐのがわかるんです。

 父が記憶を失っていく分、僕を含め家族が父の記憶を増やして、スタッフに伝えることで何か改善につながるかもしれない。そう考えて行動したことが、振り返れば僕の遠距離介護の役割だったのかもしれません。

 最後の1年は病院で過ごし、2013年に亡くなりました。

 振り返ってみると、介護では100点を目指す必要はないと思うんです。自分が80点しかできないなら、20点は外の力に任せればいい。60点なら40点を任せればいい。私も医師の友人、ケアマネさん、そして施設と周囲を頼りっぱなしでした。

 介護は家族だけでやるものではなく、地域や社会で取り組むもの。そう痛感しています。

※週刊ポスト2026年7月24・31日号

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