中国では国家主導でAI産業の育成が進む(Getty Images)
中国経済に精通する中国株投資の第一人者・田代尚機氏のプレミアム連載「チャイナ・リサーチ」。中国の上半期の経済統計の中身について読み解きながら、水面下で進む経済構造の大きな転換についてレポートする。
上半期の経済統計を内需・外需から読み解く
中国国家統計局は7月15日、上半期の経済統計を発表した。実質GDP成長率は4.7%で、政府が目標とする4.5~5%の範囲内に収まってはいるが、四半期ベースでは第2四半期は4.3%で、第1四半期と比べ0.7ポイント低く、市場予想と比べても0.2ポイント低い。下期に向けて、何らかの対策が取られるのではないか。
上半期の全国不動産開発投資は18.0%減、新築商品不動産販売額は13.6%減で依然として不動産不況が厳しい。粗鋼生産量は3.0%減、セメントは8.0%減、主に建築用に使われる平板ガラスは5.7%減など素材全般が低迷している。自動車生産台数は購入優遇政策の後退、ガソリン価格の上昇、3年近く続く値下げ競争による疲弊なども加わり3.9%減だ。都市部固定資産投資は5.7%減、社会消費品小売売上高は1.3%増で、不動産不況による設備投資、消費へのインパクトは大きい。一方、輸出は13.4%増と好調であった。内需の不足を外需がかろうじて補っているといった構図である。
ただ、内需、外需を少し具体的に調べてみると、受動的に外需が増えて助かっているということだけではなさそうだ。内需の質、輸出されるモノの質が変わり経済構造に変化が起きつつある。現在、経済を駆動する新旧エンジンの転換の初期段階にあり、バランス上、成長率が落ちているといった分析もできよう。
内需について、確かに不動産、素材、家電などの伝統的産業の成長鈍化、衰退が目立つが、同時に、新興産業の勃興、成長は著しい。例えば上半期における集積回路の生産量は23.1%増、工業用ロボットは28.0%増、リチウムイオン電池は39.3%増、3Dプリンターは48.5%増である。鉱工業生産では製造業全体は5.6%増だが、ハイテクは13.3%増、コンピューター、通信、その他電子設備は14.8%増だ。
輸出について、上半期の電子部品、コンピューター部品などコンピューター関連ハードウエアは56.6%増である。米国ハイパースケーラーによる巨額なデータセンター投資が中国の製造業にも大きな恩恵を与えている。また、電動自動車が68.7%増となるなど、新エネルギー自動車、リチウムイオン電池、太陽光パネルが強力な輸出産業に育っている。そのほか、3Dプリンター、AIグラス、AI翻訳機、装着型機械、ライトスポーツ航空機などの新しいハイテク製品の胎動もみられる。
