神戸大が特別選抜の入試を停止する背景を読み解く(イメージ)
「総合型選抜が拡大している」……この何年かメディアはそう報じてきた。一方で高校の進路指導の教師達は「難関大学の総合型選抜は非常に狭い枠です」と保護者会で説明している。つまり、報道されている内容と現場が感じている内容に差があるという。そんな中、神戸大学は、共通テストを課さず、書類審査や模擬講義、面接、プレゼンテーションなどで受験生を多面的に評価する「志」特別選抜の募集を、2027年度入試をもって停止すると発表した。また、京都大学も理学部の総合型選抜の特色入試を停止すると発表し、他の国立大学でも総合型選抜や公募制学校推薦型選抜を縮小する傾向がある。国が推進する入試改革の理念にも沿った選抜制度だったにもかかわらず、なぜ終了するのか。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする。【前後編の前編】
2019年度入試から行われてきた「多面的な選抜」
神戸大学が2027年度入試もって「志」特別選抜(共通テストを課さない総合型選抜)の募集を停止すると発表した。地味なようで、この決定は大学入試改革の難しさを象徴しているようにも見える。
文部科学省は「多面的な大学入試の選抜」、つまり、推薦や総合型選抜を推進している。理由は少子化が進むと、一般選抜のペーパーテストでの選抜が難しくなっていくからだ。たとえば、ある名門女子大はすでに一般選抜で定員割れしており、受験した学生のほとんどが合格していく。つまり、一般選抜はボーダーフリーになっている。一方で知名度ある名門女子大だから、指定校推薦で学生が集まる。指定校推薦は出願の際に「評定平均値3.0以上」といった条件が課されるので、選抜はボーダーフリーにならない。そうなると一般選抜より指定校推薦の方が、学力が高い生徒が入ってくるのだ。
ペーパーテストの点数だけでは選抜できなくなると、高校の評定平均値を加味して合否を決めなくてはならなくなる。
この合否を決める基準は他にもいろいろとある。小論文を課せば論理的な思考力や知識を問うことができるし、面接を課せば言語化能力やコミュニケーション能力を把握できる。部活や生徒会活動の実績を見れば積極性や行動力も測れる。
そういった多面的に学生の能力を測る入試を神戸大学は2019年度入試から行ってきた。
