様々なアトラクションがある「ジャングリア沖縄」(公式ホームページより)
沖縄県内での商売の奪い合いもジャングリアが生んだ成長?
その横で発表されたのが「経済効果494億円」だ。この数字は、りゅうぎん総研が産業連関表を使って計算した推計値として出したものだ。だが、494億円はジャングリアの売上でも利益でもない。沖縄県民の所得が494億円増えた数字でも、自治体の税収が494億円増えた数字でもない。
494億円は、観光客の支出を出発点に、ホテル、飲食店、卸売業、運送業、仕入れ先などで誘発された生産額を積み上げた「生産誘発額」である。原材料や中間サービスの取引も含まれるため、最初に観光客が使った金額よりかなり大きくなる。
りゅうぎん総研(開業半年時点)のレポートを見ると、その計算の仕組みがわかる。観光消費などの直接効果は198億1400万円だった。そこへ仕入れや運送などへの波及効果を加えると、見出しに使われる経済効果は322億2800万円まで膨らんだ。最初の支出額の約1.63倍である。
計算手順そのものに問題はない。問題は、その出発点に置かれた観光消費が、本当にジャングリアによって新しく生まれた支出なのかという点だ。
りゅうぎん総研の半年版は、沖縄旅行の平均滞在期間を約3泊4日とし、そのうち「1泊と1日」の観光消費をジャングリアの効果とみなしている。ジャングリアを訪れた人について、宿泊費、飲食費、交通費などの一部をまとめてジャングリアの成果へ振り分けたのである。
これは「大胆」すぎる推定ではないか。もともと沖縄旅行を予定していた観光客が、美ら海水族館、古宇利島、那覇、ゴルフなどに使うはずだった1日をジャングリアへ振り替えただけでも、その1日分の消費がジャングリアの経済効果に入る。だが、沖縄県全体で使われた金が増えていなければ、それは経済成長ではない。旅程の付け替えである。
たとえば、那覇のゴルフ場でハンバーガーを食べる予定だった観光客が、ジャングリアで同じ金額のハンバーガーを食べたとする。ジャングリアには売上が立つが、那覇のゴルフ場からは売上が消える。県内で使われた総額が同じなら、沖縄全体ではプラスマイナスゼロだ。
ところが、那覇で失われた売上を差し引かず、ジャングリアへ帰属させた消費だけを積み上げれば、経済効果は増えたように見える。県内での商売の奪い合いまで、ジャングリアが生んだ成長として数えてしまう。
