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中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

「窓が開かない。地震で揺れる。救急隊が間に合うか心配…」タワマンから引っ越した女性が振り返る“不安と不便” 「地上100メートル以上なんて住むところじゃない」

タワマン生活ならではのデメリットを感じることも(写真:イメージマート)

タワマン生活ならではのデメリットを感じることも(写真:イメージマート)

 タワーマンション(以下タワマン)は“成功者のステータス”と語られる風潮もある。だが、実際に住んでみて「こんなはずじゃなかった…」と想定外の不安や不便に直面するケースもある。30代中盤で夫と共同でローンを組んでタワマンを購入したが、離婚を機に引っ越した女性に、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が話を聞いた。

少しでも良い住環境で子供を育てたかったが…

 彼女は夫と2人合わせると、湾岸エリアのタワマン高層階をローンで購入できるほど収入がありました。購入当初の目論見としては、少しでも良い住環境で子供を育てたいという思いがあったと言います。というのも、言い方はアレですが、「タワマン住民は民度が高い」と感じていたからだそうです。

 教育水準が高い近くの公立小学校に通わせ、その後は中学受験をさせて、子供が少しでも幸せな生活を送れるルートを敷いてあげようと考えたのです。

 しかし、思ったように物事は進まない。いわゆる「妊活」をしたものの、願っていた結果にはならず、40代前半で妊娠・出産は諦めるようになっていきました。子育てをこの地ですることが夫婦にとって一つの大事な目的だっただけに、喪失感は大きかった。

 タワマンには、子供もたくさん住んでいるし、「ママ友」「パパ友」も多い。そんな姿を見るのが彼女には辛かったそうです。そうなってくると、段々と幸せの象徴だった部屋が疎ましく感じられるとともに、“不便な点”が目につくようになりました。

 元々北陸地方の一軒家出身の彼女としては、窓が開かないことがまずはストレスに感じるようになっていきました。耐震設計になっているとはいえ、地震の時の揺れはすさまじく、普段から通勤時間帯のエレベーターの混雑と人口の多さを考えると、災害時に無事避難できるかも心配になってきたと言います。

心配の種はどんどん増えていく

 そうなると、心配の種はどんどん増えていき、「119番通報をするような事態になった時に救急隊が間に合うのか」も気になるように。心停止の場合、1分救助が遅れると10%死亡率が上がるという話を聞いて、高層階での居住が恐ろしくなってきました。夫は「地震もそうだし、そんな仮定のことばかり考えても健康衛生上良くないし、完璧な環境なんてものはない」と取り合ってくれません。

 実際、彼女の心配も的外れなものとは言い切れません。2017年6月にはイギリス・ロンドンの24階建ての築43年のマンションで火災が発生し、72人が死亡しています。また、不動産コンサルタントの榊淳司氏は、著書『限界のタワーマンション』の中で「2037年危機」を危惧しており、その頃に全国のタワマンで大規模修繕の“第2波”が発生するようになり、かさばる修繕積立金の負担に耐えられず、資産価値も失われ、廃墟化するというシナリオが紹介されています。“タワマンならでは”のデメリットも確かに存在するのでしょう。

 その一方で、夫にとっては愛着があるマンションのため、悪い点についてはあまり目に入らない。そんな最中、彼女が働くオフィスが移転し、元々自宅のドアを出てからエレベーター待ちを含めて50分で通勤できたのが、1時間20分ほどかかるようになってしまった。子供を授からなかったことをきっかけに、彼女がタワマンに不満を持ちはじめて、夫婦の考え方の違いもはっきり分かるようになった。結局、彼女は離婚をし、タワマンを出て、8階建てマンションの2階に引っ越しました。

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