東京のほぼ中心に位置し、23区随一の交通利便性を誇る中央区(写真:イメージマート)
日銀の利上げを受けて住宅ローン金利が上昇局面に入るなかでも、首都圏のマンション価格の高騰は勢いを失っていない。東京23区では新築マンション価格が過去最高水準で推移し、平均価格が1億円を超える区も次々と増えている。かつて超高級マンションは「億ション」と呼ばれたが、いまや都心では珍しい存在ではなくなった。なかでも価格上昇を牽引しているのが、千代田区、港区、中央区の「都心3区」だ。中古マンションの平均価格(70平米、2026年7月1日現在)は、港区が1億9509万円、千代田区が1億7728万円、中央区が1億4641万円となっている(過去3か月間に「LIFULL HOME’S」に掲載された物件をもとに同社が独自に集計)。
「中央区の平均の約1億5000万円という水準は、世帯年収2000万円のパワーカップルがぎりぎり購入できるラインで、実需層の上限と言えるでしょう」
そう指摘するのは、『東京23区中古マンション格差の地図帳』(宝島社)の監修者で、不動産ジャーナリストの榊淳司氏だ。ただ、中央区とひと口に言っても、街の成り立ちや性格、そして物件のコスパはエリアごとに大きく異なる。
中央区は、その名の通り23区のほぼ中央に位置する。JR総武本線・京葉線・武蔵野線、東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線・東西線・有楽町線・半蔵門線、都営地下鉄浅草線・新宿線・大江戸線の計12路線が走り、駅はすべて地下にある。狭い区内にこれだけの鉄道網が張り巡らされているため、交通の利便性に乏しいエリアはほとんどない。一方、現在の区域の大半は埋め立てによって形成された土地でもある。江戸時代に城下町を築くために埋め立てが始まり、明治、大正、昭和と拡大を続けた結果、区内はほぼ平坦な低地となり、南側は東京湾に面している。
「蛎殻町や小網町といった地名は、もともと海だった名残りです。日本橋や銀座のあたりは江戸時代にはすでに陸になっています。東京湾は地形的に津波が減衰しやすいので、それほど大きな津波の被害はないのですが、1917年に非常に強い台風で高潮が襲い、今の江東区の辺りは水浸しになりました。しかし、中央区は埋め立ての年代が古く、土を1mほど盛っていたため、高潮の被害は出なかったとされています。埋め立て地でも、江戸期か明治期か、あるいは戦後かで条件は大きく異なるのです」(以下、「」内コメントは榊氏)
日本橋や銀座は、江戸の城下町として発展してきた歴史を持ち、埋め立て地でありながら現在も区内で別格の存在だという。そうした中央区にあっても、比較的手が届きやすい狙い目のエリアはあるのか。榊氏が解説していく。
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