同世代の友人とお酒を飲むときの話題にも変化(写真:イメージマート)
若い頃は同級生と遊びの計画や、将来の夢など明るいことを語り合うケースが多いが、中高年になってくると、徐々にシビアな話題が増えてくる。体力の衰えや病気、さらには仕事でも先が見えてきて、若者にコンプレックスを抱いたりすることも……。50代になると、高齢親の介護や相続の問題が話題に上るケースも多い。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏(52)は、先日、学生時代のクラスメイトと会い、そうした話題を真面目に語り合ったという。50代で直面する「親の遺産と相続」のリアルについてレポートする。
「こんな話題で酒を飲む日が来るとは…」
彼・M氏とは1993年、19歳の時に出会いました。大学3年までの毎年2回、青春18きっぷを使って京都旅行へ行くほどの仲でした。4年次、彼は大学の支援を受けたうえでアメリカの大学へ留学。卒業を直前に控えた私は、彼が住むフィラデルフィアの学生寮で10日ほどを過ごさせてもらいました。私は1年早く社会人になり、広告会社に入り、彼は1年遅れで銀行に入ります。
社会人になってからも京都旅行は続け、時には登山までする。絵に描いたような若者の交流だったわけですが、途中、彼は海外赴任があったりし、仕事も互いに忙しくなったため、徐々に疎遠になっていました。しかし、この2年間で3回も会うようになりました。そこで出た話から、いよいよ我々が高齢者になる姿も想像できるようになりました。
先日、安い居酒屋で一番切実な話題になったのは相続についてです。状況が非常に似ていたため、2人して話が合ったのです。「とにかくオレらは遺産でモメないようにしよう」という結論になったのですが、最後のほうには「はぁ~、こんな話題で酒を飲む日が来るとはな……」というため息も出ました。
「遺産は期待していない。というかオレはいらない」
我々はともに両親が80代で健在です。父親の状況が似ており、ともに大企業出身で、長男ではなく、持ち家はある。そして、奇しくも先日両親から「そろそろ墓を購入するか」「樹木葬にするか」といった相談をされ、いよいよ親と別れる日が近づいた実感が湧いてきました。そうなると遺産相続のことを考えるわけですが、彼はこう語ります。
「実家に財産はあまりないと思う。決して『太い家』ではないし、地元の名士とかいうわけでなく、転勤族のサラリーマンだったからね。まぁ、兄貴とオレと妹を大学に行かせることはできたので感謝はしている。でも、遺産は期待していない。というか、オレはいらない」
M氏も含めた3人きょうだいは全員独身で、兄と妹はM氏ほどの収入はなさそう。そのため、ある程度、遺産に期待している面があるかもしれない。自分は遺産がなくても生きていけるという確証はあるが、兄と妹に関してはそうはいかないだろうと言います。
「きょうだい3人とも子どもがいるわけでもないから、オレらの代で父親の家系は終わる。自分は大丈夫だけど、2人は誰かに頼ることはできない。そのためオレは遺産を放棄し、2人の生活を安定させた方がいいと思う。2人にケンカさせたくないからね」
