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ビジネス
高市首相とシロアリ化する経産省
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経産省の8兆円概算要求「経済安保と言えば何でも予算が取れる」とばかりに国策半導体会社などへ巨額出資、かつての失敗の教訓はどこへ

高市政権の積極財政に付け入る経産省の動きとは(時事通信フォト)

高市政権の積極財政に付け入る経産省の動きとは(時事通信フォト)

 高市早苗・首相の「増税派パージ」人事は霞が関を震撼させたが、財務官僚たちが遠ざけられる裏で「我が世の春」を謳歌しているのが、今や官邸を牛耳る経産官僚たちだ。“省の中の省”と呼ばれた財務省に取って代わるかたちで、一体何を進めているのか。浮かび上がってきたのは“税金の大盤振る舞い”という内実だった。経産省は来年度予算の概算要求で、当初予算の2.5倍となる約8兆円を要求している。その中身を紐解いていく。【全3回の第3回】

国策半導体会社へ約3兆円にのぼる巨額投資

 経産省の概算要求に盛り込まれた主な事業を見ると、巨額の新規事業や予算倍増の事業が目立つ。

令和9年度経済産業省 概算要求

令和9年度経済産業省 概算要求

 AI・半導体・ロボット分野では、AIロボットの基盤モデル開発事業8964億円(前年比2.3倍)をはじめ、新規でAIロボティクス戦略事業3209億円などが盛り込まれた。これほど巨額の予算をどう使うつもりなのか。

 同省の概算要求資料によると、この2つは同省傘下の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に基金が作られ、民間企業の補助金や委託費として支出する。

 経済安全保障・防衛産業強化分野の新規事業では、宇宙産業の基盤強化に683億円投入。経産省が国策で推進した三菱重工の国産旅客機MRJ開発は2023年に断念されたが、同省は懲りずに次世代旅客機開発にも再び挑戦する。資源エネルギー・GX分野で次期航空機開発等支援事業に400億円を投じる計画だ。

 経産省が省をあげて推進する次世代半導体企業ラピダスへの1500億円追加出資も盛り込まれた。補助金(研究開発事業の委託)などを含めた国の支援額は約3兆円にのぼる。今後、民間金融機関から2兆円の融資が計画されているが、経産省はこれも最大8割を債務保証する方針だ。ほぼ丸ごと国が負担する実質的な経産省経営の国策半導体会社と言っていい。

 それというのも、ラピダスは総理首席秘書官の飯田総祐二・元経産次官が力を入れてきた事業で、担当の野原諭・商務情報政策局長は事業の立ち上げのために異例の5年間にわたって同職にとどまり、この8月人事で中小企業庁長官に出世したばかりだ。

 たとえ民間の投資が少なくても、同省は国費を投じて進める姿勢なのだ。

 だが、半導体の製品化・商業化は非常に難しいとされ、同省はかつて国内の半導体事業を統合した国策会社エルピーダメモリを破綻させ、失敗した過去がある。経産省OBで経済産業政策課長、中小企業庁部長などを歴任した政治経済評論家・古賀茂明氏が指摘する。

「政府は率先してラピダスに出資することで本気度を示し、国内外からの投資を引き込もうと考えた。しかし、日本企業が財界の旗振りとお付き合いで出資しただけで、肝心の米GAFAMなどは見向きもしない。だから今回、経産省は1500億円追加出資しなければならなくなった。つまり、市場はラピダスの成功は難しいだろうと予測しているわけです。

 では、失敗したらどうなるのか。国が投じた巨額の資金は焦げ付く。あるいは、半導体量産化に成功したとしても、世界に売れなければ、日本政府が経済安保のために国産半導体を使うと言って、世界が評価していない半導体を高い金で買い取ることになりかねない。このように官僚は一度始めた事業は失敗しても存続させようとする。今回の概算要求に盛り込まれた新規事業でもそうした失敗の種が多く蒔かれることになるはずです」

次のページ:「経済安保と言えば何でも予算が取れる」

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