郵便局を“最後の砦”とすることの大いなる矛盾
郵便局を“最後の砦”として位置づける発想は、総務省にもある。
同省の資料には「郵便局ネットワークを維持する責務を負っている日本郵便が、郵便・貯金・保険のユニバーサルサービスを提供しながら、郵便局ネットワークを利活用し、地域に必要なサービスの提供主体(自治体・生活インフラ等)と連携することで、人口減少下においても持続可能な地域へ発展させていく」と明記されているのだ。
高市政権は7月に閣議決定した「地域未来戦略」などに、郵便局を新たな行政・生活支援サービスの一元的な提供拠点とするため、地域のコミュニティ・ハブとしての実証事業を行うことを盛り込んだ。
だが、郵便局を“最後の砦”とすることには大きな矛盾が存在する。ユニバーサルサービスこそが、郵便事業を赤字に陥らせている最大の元凶だからだ。
ユニバーサルサービスが課されているために、日本郵便は民間会社になったにもかかわらず不採算エリアから撤退できず、非効率な業務を抱え込むことになっている。
“最後の砦”として採算度外視で郵便局を過疎エリアに展開すればするほど赤字が膨らんで行くという構造になっているのである。
■後編記事につづく:地方社会のインフラとして無理やり存続させてきた「郵便局の限界」 いま問われる“郵便事業の何を残し、何を切り捨てるのか”2つの極論
【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、東京財団シニア政策オフィサー、高知大学客員教授、奈良先端科学技術大学院大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)など著書多数。小学館新書『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』が話題。