財政支援650億円は郵便局を引き留める“契約金”?
改正法の目玉は、全国の郵便局ネットワークを維持するための新たな交付金を創設したことだ。国が受け取るはずだった日本郵政株の配当金と、権利が消滅した郵便貯金の一部を財源として財政支援を行う。2027年度は年間650億円規模が予定されている。
これだけを聞けば赤字に苦しむ郵便事業は何とか持ち直すのではないかとも思えるが、問題は「650億円」を支援する交換条件であるかのように、2つの規定を盛り込んだことにある。
1つは、日本郵便の親会社である日本郵政に、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の株式の3分の1超を「当分の間」保有するよう義務づけたことだ。
株を手放しても銀行や保険のサービス提供に問題がないか見極めるとのことだが、株の保有を維持させることによって過疎集落から金融機関が消滅するのを回避したいと言うのが本音だろう。
もう1つは、日本郵便の「本来業務」に地域住民の日常生活の基盤となるサービスを加え、地域インフラとしての郵便局の役割をより明確にしたことだ。
具体的には、地方自治体からの委託によるオンライン診療サポートや鉄道事業者からの委託による駅窓口業務などが想定されているが、これは郵便事業の「官業回帰」どころか、過疎地域における実質的な行政機関にしようということである。
郵便局がユニバーサルサービスの責務を負って勝手に閉鎖できないことに目を付け、人口激減エリアの“最後の砦”として存在し続けるよう法的に規定したのである。「650億円」というのは、郵便局が過疎地域から撤退しないよう約束させる“契約金”のような印象である。