基本的にはベースのN-ONE eと共通デザインのインパネ周辺だが、よりスポーティな演出を施している
硬質パッドを足してサポート感を向上させたシート。座り心地も悪くない
写真は「シティ・ターボⅡ」。この車へのオマージュが開発の原点となっているという
走り出して実感する「あらゆる面で“軽い”」という感覚
実にホンダらしい、というか、ホンダにこういう“痛快で楽しい車”を作らせると、本当にうまさを発揮します。
まず軽の「N-ONE e:」のボディを力強いオーバーフェンダー(タイヤの上のふくらみ)化した見た目です。1980年に人気を得た小型車「シティ」のボディを、まさに同じ手法で拡大し、パワフルなエンジンを詰め込んで1983年に登場した名車「シティ・ターボII」が元ネタです。四角く張り出したフェンダーと全長の短いコンパクトなボディに力強いエンジンを積んだ姿が、闘犬のブルドッグを連想させたことから愛称は「ブルドッグ」。「スーパーONE」が登場した際に「ターボII」を知る世代は、郷愁に似た感覚を覚えたはず。ホンダ自身も「ターボII」へのオマージュを明言していますから、言わば「令和版ブルドッグ」と言うわけです。当然ながらデザイン処理のうまさに「お、なんかいいなぁ」と、直感しました。
一方で若手ユーザーには「やんちゃで可愛さもあってカッコいい」との意見が多いようです。最初から居住スペースは軽自動車並みと納得していても、魅力的な存在に見えてしまいます。とくにオーバーフェンダーというギミック(もちろん良い意味)ですが、その見栄えの良さと実質的な効果を意味を知る世代には“刺さるアイテム”です。見た目の迫力向上だけでなく、ワイドトレッド化(左右のタイヤ間を広げること)が可能です。そして新設されたロアアームやサスペンションによる専用の足回りが、カーブでも安定したスポーティな走りを実現するなどコーナリング性能を大きく向上させています。走りの味わいがぐんと増しました。
早速、高揚した気分をなだめながら走り出してみました。バッテリー搭載による重量増は「強力なモーターのトルクで解決する」という、これまでにあったBEVならではの“力任せの走り”を覚悟していたのですが、それは一瞬にして良い方向へと裏切られたのです。約1090kgという軽量ボディから終始得ていたのは「あらゆる面で“軽い”」という感覚。強力なモーターによる鋭い加速、軽快なレスポンス、そしてフラット感のある切れ味鋭いコーナリングを実現した上で、その走りの基本は「軽やかにして痛快」という感覚に溢れていたのです。決して凶暴ではありません。猟犬のブルドッグがそうであるように、普段はなんとも従順でお散歩にも愛らしく付き合ってくれる。でもひとたび“猟”となれば、驚くほどの働きをしてくれます。
“ホンダ車のヘリテージ”にしっかりと刻まれる1台
この「絶妙なる味」として調理されていた走りのメインディッシュとも言えるのは「BOOSTモード」。通常のモーター出力は軽自動車と同じ47kW。これは軽自動車の自主規制による出力ですが、普通車となればこの自主規制を遵守する必要はありません。そこで「スーパーONE」はスイッチ操作ひとつで一時的に“70kW”まで一気に引き上げることができます。試してみると、切れ味の鋭さというか「ワープ感」の凄さに、思わずというかただ純粋に「楽しい~」という笑みがこぼれるのです。
一方で通常の交通モードに戻れば、独自の軽快さを生かしながら、レスポンスのいいキビキビ走りが味わえるのです。別に飛ばしていなくても、小気味よく動く感覚は“ホンダ車のヘリテージ”にしっかりと刻まれる1台だとさえ、感じました。
当然ながら久しぶりに購入意欲が強烈に刺激されます。すると普通車となったことで国からのCEV補助金は130万円へとアップ(N-ONE e:は58万円)。さらに東京都の場合はZEV補助金(車両登録日が令和8年7月1日以降の場合)が90万円プラスされます(令和8年4月1日~6月30日の場合は60万円~)。合計220万円となり、「スーパーONE」の希望小売価格(消費税込み)339万200円は補助金受給後の参考価格(消費税込み)では119万200円(消費税込み)です。当然、補助金の申請総額が予算額の上限に達し次第、受付終了となりますから、これは“即買い!”となる自然の流れなのですが、すでに今年度分の生産枠がほぼ完売状態ということのようです。
今後の増産体制にもかすかな期待を抱きますが、現状は2027年4月以降の生産分に向けた予約が中心となっているとのこと。年度が替われば補助金も変わりますが、関心があるならとにかくディーラーへ急ぎましょうか。


