閉じる ×
閉じるボタン
有料会員限定機能の「クリップ」で
お気に入りの記事を保存できます。
クリップした記事は「マイページ」に
一覧で表示されます。
マネーポストWEBプレミアムに
ご登録済みの方はこちら
小学館IDをお持ちでない方はこちら
大前研一「ビジネス新大陸」の歩き方
有料会員限定鍵アイコン
有料会員限定

暴走・迷走が止まらないトランプ大統領は“2つのシンドローム”に陥っているのではないか 最終手段として危惧される「核兵器使用の可能性」《大前研一氏が分析》

対岸の火事ではない(イラスト/井川泰年)

対岸の火事ではない(イラスト/井川泰年)

 成人全員に5000ドルの“トランプ配当”、自らの肖像画入りパスポートなど、様々な奇策を打ち出すトランプ大統領。経営コンサルタントの大前研一氏は、その言動の裏に2つの“シンドローム”があると指摘する。それはどういったもので、どんなリスクがあるのか。大前氏が解説する。

1期目の時から指摘されていた「ナルシスト・シンドローム」

 トランプ大統領の暴走・迷走が止まらない。たとえば、11月の中間選挙に共和党が上下院で勝利すれば、すべてのアメリカ国民の成人に5000ドル(約78万円)の“トランプ配当”を給付すると公約した。これはもちろん違法であり、実現不可能だ。その上、バイデン前政権時代に「オバマケア(医療保険制度改革法)」で保険料が過大請求されたとして、100万人を対象に1人あたり500ドル(約7万8000円)を還付するとした。中間選挙の敗北が濃厚になっているため、カネのバラまきによる“票の買収”を始めたのである。

 また、「アメリカの建国250年を記念する」として、ドル紙幣にトランプ大統領の署名が印刷されることになった。現職大統領の署名印刷は初めてだという。さらにアメリカ政府は、トランプ大統領の肖像画が入った限定版パスポートを発行した。現職大統領の肖像画がパスポートに掲載されるのも歴史上初めてで、表紙の内側にその肖像画があしらわれ、金色の署名も記されているそうだ。

 こうした政策はすべてトランプ大統領の強烈な自己顕示欲によるものだが、私はこれほど常識外れで厚顔無恥なアメリカ大統領は、寡聞にして知らない。

 常軌を逸した単なる思いつきのような奇策を次々と繰り出すトランプ大統領については、1期目の時からアメリカの多くの精神科医や心理学者が「ナルシスト・シンドローム」(自己愛性パーソナリティー障害/NPD)と指摘している。その診断基準は「自分を過大評価している」「際限のない成功欲や権力欲にとりつかれている」「実績や才能を誇張する」などで、いずれもトランプ大統領の言動に当てはまるとされたのだ。ささいな批判にも過剰反応して必ず激しくやり返すのもこれが原因だという。にもかかわらず、そういう人物をアメリカ国民は再び大統領に選んだのである。

 実は私は、トランプ大統領にはもう1つ別の“病気”があるのではないかとみている。それは「アプレンティス・シンドローム」だ。

『アプレンティス(見習い)』は、トランプ氏が大統領になる前にホスト(司会)を務めていたテレビの1時間番組で、ニューヨークのトランプタワーを舞台に実業家トランプ氏の右腕として働く人材になるため、参加者がチームで課題に取り組む。毎週、最後に全員をボードルームに集めて勝者を発表し、敗者の中から脱落者を選んでトランプ氏が理由説明なしに「You’re Fired!(お前はクビだ!)」という決め台詞で宣告する。そして次週は異なる課題が出されて新たな局面になり、何の「起承転結」もなく進行していく番組だった。

 このホスト経験が長かったので、大統領になっても政策がスムーズに進まなかったり、問題対応に飽きて興味を失ったりすると、何も決着がついていないのに放り出して次の展開に切り替える“癖”がついたのではないかと思うのである。

次のページ:「核兵器は使わない」と否定していたが…

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。