事前相談で「時間不足」と「情報不足」の問題を軽減できる
なぜ事前相談が推奨されるのでしょうか。それは葬儀のトラブルを回避するうえで有効だからです。
当連載で以前書いた記事の中で、『葬儀において、遺族側は「時間」「精神的なゆとり」「情報」の3つが不足するため、“不利”になりやすい』という趣旨の話をしました。
何の準備もないままに大切な人が亡くなってしまうと、遺族は冷静な判断ができず、「あの時、ああしておけば良かった」と時間が経ってから悔やむケースが後を絶ちません。
大切な人を亡くした悲しみはどうすることもできませんが、事前相談は「時間不足」と「情報不足」からくる諸問題を軽減します。葬儀社を選ぶ時間と、亡くなった時に何をすればいいかという情報があれば、後悔する可能性が低くなります。つまり自分にとって「納得」できる葬儀社が、「良い」葬儀社なのです。
亡くなっていないのに葬儀社を訪問して事前相談をすることに、「縁起でもない」と抵抗を感じる方も多いでしょう。しかし実際には、事前相談をする人は増えている印象です。葬儀社によっては、顧客の過半数が事前相談をしていたというところもあります。また私が過去に葬儀後のアンケートを分析した際には、事前相談を行っていた遺族のほうが葬儀に対する満足度が高く、葬儀費用は低めになる傾向が見られました。メリットこそあれど、デメリットはありません。まずは一度足を運ぶことをおすすめします。
候補となる葬儀社を3社程度に絞る
それでは「事前相談」に臨むにあたり、具体的な手順を解説していきます。
葬儀社に心当たりが全くないのであれば、Googleマップを使って近隣の葬儀社を調べてください。都市部なら自宅の半径3km圏内が理想です。これ以上離れると、移動を負担に感じやすくなるためです。
「地名+葬儀社」で検索する方もいますが、検索結果の上位には葬儀社仲介業者もしくはアフィリエイトサイト(葬儀社の紹介で広告収入を得るサイト)が掲載されがちです。カネさえ使えば上位に表示できるため、過去に不適切な広告を掲載し、それを消費者庁や消費者団体から指摘された会社もあります。つまり検索結果だけで判断すると、「良くない」葬儀社を選んでしまう可能性があるということは、覚えておきたいポイントです。
次に、表示された中から複数の葬儀社をピックアップしてください。言うまでもありませんが、複数社を比較検討することで、納得できる葬儀社を選べる可能性が高くなります。3社程度が目安です。3km圏内に4社以上ある場合はサイトを見て、スタッフ紹介と見積り例をチェックし、情報量が多いところを選びましょう。なぜなら消費者にとっての判断材料を提供しようとする姿勢が見えるからです。なお、Googleマップの口コミは投稿内容の真偽を確認しにくいため、参考程度にとどめてください。
この段階で「素晴らしい葬儀社を選ぶ」と気負う必要はありません。葬儀というサービスを受ける以上、近所にある葬儀社の中から選ばざるを得ないのですから、相対的に地元で一番マシな葬儀社を選ぶという心構えで充分です。