相続放棄で気をつけるべきポイントは?(イメージ)
故人が残した財産を遺族が受け継ぐ「相続」。しかし、受け継がれる財産のなかに、借金などが含まれていることもある。そうした“負の財産”を遺族が受け継がないようにするためには「相続放棄」の手続きが必要だ。2025年の家庭裁判所における相続放棄申述書の受理件数は約32万件で、全体としては約15人に1人の割合となっており、かなり身近な選択肢となっている。では、相続放棄は具体的にどのような流れで行なわれるのか。ある遺族のケースを紹介しよう。
相続放棄ができるのは「3か月以内」
東北地方出身で都内に住む会社員のAさん(50代男性)は、4歳年下の弟と2人兄弟。2人とも都内で会社員をしている。父は数年前に他界しており、80代の母は地元の介護施設で暮らしていた。
「ある日地元の病院から、母が体調を崩して入院したと連絡がありました。かなり容態は悪いようで、数日の間に急変する可能性も高いと言われました」(Aさん。以下「」内同)
仕事のスケジュールを調整して帰省したAさん兄弟だったが、ほどなくして母は亡くなった。葬儀の準備を進めるなか、兄弟が話し合ったのは相続放棄についてだった。
「母は父が他界した後、アパートを借りて一人暮らしをしていましたが、施設に入ってからは、そのアパートも引き払い、不動産や株式、貯金などの相続する財産はほとんどありませんでした。
ただ、以前母から『実は借金がある』と教えられたことがあったんです。母によれば何十年も前の話ではあるものの、自分の借金だけでなく、他人の借金の連帯保証人になったこともあった。相続するほどの財産もないのに借金だけを“相続”するかもしれないのは嫌だということで、借金の有無を確認するまでもなく、相続放棄を考えました」
相続放棄ができるのは、相続開始を知った日から3か月以内という期限がある。そこでAさんは、葬儀の準備を始めるとほぼ同時に、地元の弁護士に相談した。
「弁護士いわく、母の借金はすでに時効になっている可能性が高く、わざわざ返済する必要はないとのことでした。とはいえ、やはりほかの借金がある可能性を考えると、相続放棄するのがベターだというアドバイスでした」
