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葬祭のプロが考える「これからの葬儀」

葬儀業界で女性の正社員は3人に1人 女性の深夜労働が認められても女性採用が進まなかったのはなぜ? 葬儀スタッフは夜勤でどんな仕事をしているのか

夜勤の間も緊張は続くという(イメージ)

夜勤の間も緊張は続くという(イメージ)

 女性の活躍が叫ばれ、これまで「男社会」だった業界にも女性が増えてきた。一方で、力仕事や不規則な時間の労働に女性を割り当てづらい現実もある。

 男女間の業務の公平性については議論の余地もあるだろうが、閉鎖的で形骸化した“古い業界”ほど男女差は残りやすいことだけは確かだ。葬儀業界歴約30年、1級葬祭ディレクターの赤城啓昭氏が、女性が過半数を占めるようになった葬儀業界でも「正社員は男性中心」の事情を明かす。【葬儀業界の男女比事情・前後編の前編】

女性従業員は過半数なのに、正社員は3人に1人

 男性優位と思われがちな葬儀業界、今や男性より女性の従業員の方が多いのです。経済産業省の2020年の調査の時点で、葬儀業の従業者総数は8万3219人、そのうち女性は4万2765人(51.4%)と半数を超えていました(正社員のほかパート・アルバイトなどを含む)。2005年の調査では、葬儀業の就業者総数は5万933人で女性は2万2495人(44.2%)だったことから、この15年間で女性の割合が高まったことがうかがえます。

 ところが正社員に限ると、2020年は3万8527人のうち女性は1万3732人(35.6%)で、まだまだ少ないことがわかります。

葬儀業界で女性が正社員になりにくかった理由

 葬儀業界は男性社会でした。力仕事と、不規則な長時間労働のためです。重い祭壇を運搬・設営したり、遺体を階段で2階に上げたりと力仕事が多いうえ、人はいつ亡くなるか分からないため、24時間営業です。葬儀社は個人商店レベルの零細企業も多く、そうしたところは人手不足を補うため、一人で月10回も夜勤をするケースも耳にしました。

 私自身、朝出社してお葬式の担当をして、夜会社に泊まって病院の搬送に行って故人を自宅に安置して、翌日打ち合わせをして、その夜お通夜の担当をする、ということは日常茶飯事でした。1999年4月1日に労働基準法が改正施行されるまで、女性の深夜労働は一部の例外を除いて禁止されていたので、女性が夜勤を行うことはできませんでした。

 葬儀社において、正社員は夜勤を含めてあらゆる業務をこなす能力と体力が求められます。仕事の受注量が不規則なので、夜間専任のスタッフを雇って固定費を上げるより、正社員を状況に応じて長時間労働させたほうが、コストを抑えられるからです。適材適所で分担すれば女性が活躍できる場もあったはずですが、夜勤ができないとなると、計算上現場の頭数が足りなくなってしまいます。そのため正社員は優先的に男性が採用され、女性はパートや契約社員となる傾向がありました。

 法改正後は女性も深夜労働ができるようになりましたが、こうした男女の雇用形態や役割分担は、すぐには変わりませんでした。人手が不足していない時代は「無理に女性の正社員を増やさずとも、これまで通り男性を多めに採用しておけばいい」という習慣が継続されたのです。

 これは差別的と言えるかもしれません。しかし法律が変わった時点で、業界内の女性が「男性だけ夜勤を行って夜勤手当を得ているのはおかしい。女性も夜勤をやらせるべき」と主張することもできたはずですが、そうしなかったのには女性側の思惑も一部にもあったと思います。おそらくキツくて割に合わない仕事をやらなくて済むならそれに越したことはないという考えもあったのではないでしょうか。

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