葬儀業界の世代間ギャップとは(イメージ)
担当患者が危篤状態なのに、「夕方5時になったから」と帰宅した研修医がいた──。2026年9月、マネーポストWEBの記事でそんなエピソードも紹介されている。「最近の若者は理解できない」というジェネレーションギャップを感じる上の世代は少なくないだろう。仕事よりプライベートを重視する、理不尽な指示には従わない、出世に関心が薄いといった声もよく聞かれる。
葬儀業界でも、世代による働き方や価値観の違いはあるという。葬儀業界歴約30年、1級葬祭ディレクターの赤城啓昭氏がくわしく解説する。【葬儀業界のジェネレーションギャップ・前後編の前編】
職人気質で個性派ぞろいだったバブル世代
私が葬儀社スタッフの「世代」ごとの仕事に対するイメージをざっと俯瞰するとしたら、バブル世代→就職氷河期世代→ゆとり世代と、年代が進む毎にレベルが上がっていき、Z世代でまた下がったという印象です。
私自身はバブル崩壊直後に、大学を出て葬儀業界に入った就職氷河期世代(以下氷河期世代)で、30年ほどこの業界を見てきました。前述した印象はあくまでも私の個人的な捉え方ですが、長年見てきた、社内で共有される遺族アンケートにも同様の傾向が表れていました。
前提として断わっておきますが、異なる才能がその年代に集中して生まれた訳ではなく、素材は同じで、社会環境や入社した時期の業界の事情によって、仕事ぶりに違いが生じたのだと私は考えています。
まずバブル世代から見ていきましょう。
バブル世代に厳密な定義はないようですが、おおむね1965~1969年生まれで終身雇用や年功序列がまだ当たり前とされていた時代に社会人生活を始めた世代です。私が新卒としてこの業界に入った当時、先輩がバブル世代でした。比較的就職先を自由に選べる売り手市場だったにもかかわらず、わざわざ人気のない葬儀業界に入ったのは、当時相当実入りが良かったからか、もしくは多少素行が悪くても不問だったからでしょう。バブル時代の「イマドキ」を生きた世代は、良く言えば職人気質で豪快、悪く言えば粗野な感じで酒と煙草が手放せないタイプが多かったです。
そんななか、当時、火葬場の業者控室でよく会う他業者の一人に紳士然とした人がいました。暑い夏の日でも、常にシャツのボタンを一番上まで留めて、上着を着ているのです。そのきちんとした身だしなみを、私は内心尊敬していたのですが、どうやら全身に彫り物が入っていたようです。ちなみにもう一人「全然寝てないよ」が口癖のエネルギッシュな人がいて、この人のことも尊敬していたのですが、しばらく会わないなと思っていたら、クスリで捕まったという噂を聞きました。次第に私は誰も尊敬しなくなりました……。
バブル世代に対し、私がなぜこんな厳しいことを気兼ねなく言えるかというと、経営者層を除いて、知っている人はもう葬儀業界にいないからです。バブルがはじけて昔ほど儲からなくなると、元々収入目当てだけで入ってきた人は次第にいなくなったのでした。
