キオクシアの株価が決算後に急落している背景は(写真:時事通信フォト)
生成AI向けの旺盛な需要を追い風に、驚異的な業績拡大を続けるキオクシアホールディングス(285A)。10月30日に発表した決算では、四半期の営業利益率が80%を超える驚異的な高収益を記録した。ところが、決算発表後は株価が急落、決算前は株価1万5000円程度で推移していたが、11月4日には株価が1万円を割れる局面もあった(同日終値は1万735円)。好決算でも株が売られた背景とは。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が解説する。
会社は10~12月期を「横ばい」と予想
キオクシアホールディングス(285A)が10月30日に発表した2027年3月期第2四半期(7~9月期)決算は、売上収益2兆4800億円、営業利益1兆9947億円、営業利益率80.4%という、日本の製造業では見たことのない驚異的な数字だった。ところが決算発表後の夜間取引(PTS)では一時1万1700円と東証終値比13%安まで売られ、その後も株価下落が続いた。過去最高益の決算で、なぜここまで売られたのか。問題は決算の中身ではなく、会社発表の10~12月期利益は「横ばい」という見通しと、その裏にある販売単価の伸びの鈍化にあると想像できる。
今回は、注目のキオクシアの決算数字を確認したうえで、ガイダンスが伸びなかった理由、PTS急落の構造、そして今後の確認点を整理したい。
キオクシアは東芝のメモリー事業を源流とするNAND型フラッシュメモリーの専業メーカーで、世界シェアは3位。2024年12月に東証プライムに上場し、米サンディスクとの合弁で四日市工場と北上工場を運営している。10月1日には1株を3株にする株式分割を実施したばかりだ。
今回の中間期(4~9月)は、売上収益4兆2472億円(前年同期比5.4倍)、営業利益3兆2647億円(前年同期は1308億円)、純利益2兆1979億円(同37倍)。7~9月期単独では売上収益2兆4800億円(前四半期比40.3%増、前年同期比453.2%増)、営業利益1兆9947億円、純利益1兆3557億円だった。7月時点の会社予想を売上、営業利益、経常利益、経常利益、EPS全てにおいて上回り、7~9月期の売上だけで前期(2026年3月期)1年分の2兆3376億円を超えた。
内訳は、ビット(記憶容量)ベースの出荷量が前四半期比10%台前半の増加、平均販売単価(ASP)が同20%台半ばの上昇(製品ミックスの影響を除くと30%台前半)。生成AI向けデータセンター需要を中心に単価が上昇し、用途別ではSSD・ストレージ向けが1兆6160億円、スマートデバイス向けが7889億円だった。財務も様変わりしている。9月末の現金同等物は1兆3973億円と3月末の約3倍、親会社所有者帰属持分比率は49.8%。中間期の営業キャッシュフローは2兆3796億円で、8月に約8000億円の自社株買いを実施した後でもこれだけの現金が積み上がった。
株主還元では上場後初の配当として中間配当90円(分割後換算30円、総額約479億円)を決め、累進配当と機動的な自社株買いを基本方針に、ネットキャッシュを維持したうえで中長期的な余剰資金の100%を還元する方針を打ち出した。発表内容としては、文句のつけようがないものといえる。
市場が反応したのは、同じ資料の中の小さな表だ。10~12月期(第3四半期)の会社見通しは、売上収益2兆5000億円(前四半期比0.8%増)、営業利益1兆9950億円(同0.0%増、Non-GAAPでは2兆円)、純利益1兆3600億円(同0.3%増)。ブルームバーグが集計したアナリスト12人の営業利益予想の平均2兆3479億円を約15%下回り、主要証券会社のアナリストによる業績予想数値をもとに算出されるIFISコンセンサスの売上予想2兆8322億円に対しては約3300億円下回った。4~6月期から7~9月期にかけて売上を4割伸ばした会社が、初めて「横ばい」を置いた。通期予想は示していない。
横ばい予想の根拠となった3つのポイント
会社の説明は3点に整理できる。
