中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

バブル時代を嬉々として語るオッサンのみっともなさ

過去のいい時代を振り返っても前に進めないぞ!

 いやはや、どうです、コレ。こうした「伝説」ってものは若干尾ひれがつくものではありますが、本当に自分とはまったく縁遠い世界だと感じたものです。こちとら打ち合わせやプレゼンのために別の会社に出向くときに平然と先輩社員がタクシーに乗るのを見て「えっ、電車で行かなくちゃマズいでしょ!」なんて言うぐらいの金銭感覚で生きてきたワケですから。数年違うだけで世界が違いますわ。

 毎回、バブルの話題になると先輩方は我々の知らない世界をイキイキと語り始め、「またその手の話かよ」的ダイナミックなものが多い。その都度「あなたは今を生きているのか! 過去のいい時代を振り返っても前に進めないぞ!」なんて松岡修造が言いそうなことを言いたくなってしまったものです。

 現在の若い人々がバブル時代の文化を「なんかかっこいい」「なんか楽しそう」と思ってマネするのは全然イヤじゃないのですが、とにかくバブルを大学生時代や社会人時代に経験した人はどこか往生際が悪い。当時のカネが飛び交う世界をいつまでも懐かしがり、雑誌は「バブル再来か」と時々あおり、テレビも広告もバブルをモチーフとしたコンテンツを送り出す。株価が上向くと、テレビではジュリアナ東京のお立ち台の映像が流れ、1989年12月29日の「大納会」でつけた株価「3万8915円」を示す電光掲示板が登場する。

 そして、「タクシーが止まらなくて1万円札3枚を振りかざしてなんとか止めた」というあまりにも使い古されたエピソードを出演者が語り「あの頃はすごかったですね」とドヤ顔を決める。

 さすがに「失われた20年」もあり、あの頃イケイケだったオッサン、オバサンも今では等身大の生活をしているわけです。昨今の若者が牽引する「バブル懐古ブーム」ですが、約20年前、我々ロスジェネ世代の若者を前に散々ドヤ顔を決めたオッサンがいい気持ちになって「どれどれ、20代のキミ達にあの頃のすごさを教えてやるかね、ウヒヒ」なんて居酒屋でウザく絡み始めなければいいな、と思っています。

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