キャリア

団塊ジュニアの「金満学生ライフ」は団塊世代のコンプレックスが生んだ

 この世代こそ、団塊ジュニア世代である。受験戦争と就職難により「不遇の世代」と言われることも多い団塊ジュニア世代だが、教育面では恵まれていた。前出の菊谷さんがこの世代をこう語る。

「息子も団塊ジュニア世代ですが、はっきり言ってオレたちの時代に比べると恵まれています。オレたちの時代は赤尾の豆単(英語基本単語集)を片手に食卓や茶の間で勉強しましたが、団塊ジュニアは自分の部屋があり塾もあったから」

 団塊ジュニア世代をめぐっては、もうひとつ興味深いデータがある。大学生協による「仕送り額調査」を見ると、月の仕送り額は彼らが大学生だった1996年に初めて10万円を超えた。この額はその後、数年高止まりして以降は減少の一途をたどる。

「団塊世代は自分らの大学進学率が10%台と低く、大学に進学したくても行けなかった人が多かった。大学に行けたら大手を振れる時代に育ったので学歴信仰も強く、自分らが達成できなかった夢を託すため子供にせっせと仕送りをしました。ところが団塊に続く新人類世代になると学歴信仰が薄まり、不況もあいまって仕送り額がみるみる減りました」(森口氏)

 つまり、教育面では団塊ジュニアの前後に損得の大きな境界ができている。「最も甘やかされた世代」である団塊ジュニア世代を熱烈に支援したのは、「最も辛酸を舐めた世代」である団塊だったということだ。

※週刊ポスト2018年5月25日号

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