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東証再編で一部上場企業が固唾を呑む「線引き」、“降格”するとどうなる?

 もちろん、債務超過で降格となった企業と、区分見直しによる降格を同列には論じられないが、企業幹部も一般社員もそう簡単には割り切れないはずだ。

 とりわけ上場時に派手に花火を打ち上げた企業の思いは複雑だろう。

 たとえば、「いきなり!ステーキ」などを展開するペッパーフードサービスは、2017年8月に二部からの昇格を果たした際、全店でリブロースステーキを値下げする記念フェアを展開するなど、大々的に“祝賀ムード”を演出し、記念パーティには約700人の財界関係者らが集まったという。

 プレミアム市場の上場基準が「500億円以上」となった場合、同社も当落線上となってくる。対策を講じる予定などがあるかを尋ねると、「東証より正式な指針などが出ていないので、その件については考えていない」(同社営業企画推進部広報)との回答だった。

 また東証一部に上場したばかりの企業もある。総合建設会社の日本国土開発だ。20年前に会社更生法適用申請で上場廃止となり、3月5日に念願の一部再上場を果たしたばかり。同社の時価総額も600億円前後だが、一部再上場からすぐに“降格”の可能性があることについては、「ご回答申し上げるのは難しい」(経営企画室企画部)とするのみだった。

 東証一部の上場企業は約2100社。この数字は、米ナスダックの「グローバル・セレクト」(約1400社)、ロンドンの「プレミアム」(約500社)などと比べても明らかに多く、改革は不可避だろう。

 ただ、それがどこで線引きされるのか──。一部上場企業の社長とエリートサラリーマンたちが、固唾を呑んで見守っている。

※週刊ポスト2019年4月5日号

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