中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

仲の悪かった相手と久々の再会、「負の感情は時が解決する」は本当か

一度こじれた人間関係は修復できるのか

一度こじれた人間関係は修復できるのか

 一度悪化した人間関係というものは、いずれ修復され、良好なものになるのだろうか。長い人生のあいだには、人間関係の清算が必要になるときもあるかもしれないが、関係を修復できるのはどんなケースか。人間関係の取捨選択について論じた『縁の切り方』などの著書もあるネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、自身の体験をもとに考察する。

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「時が解決する」という言葉は真実だな、と最近しみじみと感じます。一度は冷え込んだ関係であっても、その後10年もすれば関係修復されることは案外あります。若い頃、私はかなり無能だったため、仕事で数々の失敗をしてきました。

 それこそ、寝坊で遅刻をしたり、メールの返事を怠ったため業務が遅れたりしたこともあります。そうしたことから呆れられ、無視をされたり激しく叱責されたりしたこともありました。これらは私が完全に悪いものの、他にも「なんかお互い気が合わないな」といった関係の人もいました。多分それは「社会人としてなっていない」といった尺度で見た場合、私の言動や格好が耐えられなかったのだと思います。

 若い頃出会ったA氏は、私のことを嫌っていると明確に言いました。売り言葉に買い言葉で「Aさんがオレのこと嫌いなんだったらオレもAさんのことを嫌いということにしますわ」とまで言い、険悪な関係になりました。

 しかし、不思議なもので、A氏を含めた何人もの人と10年以上経ってから仕事で再会すると、当時の憎しみや苛立ちが互いになくなっていることに気付きます。そんな感情よりも、懐かしさやこの移り変わる時代の荒波の中、お互い仕事人として生き残れてきたことを喜び合う「盟友」的関係になっているのです。

 互いに過去のモヤモヤした関係を覚えているだけに、どこかに気恥ずかしさはある。しかし、それをまったく言葉にすることなく、淡々とお互いの得意分野を駆使して仕事を進めていくのです。ビジネスライクでドライな感覚ではあるものの、10年以上の時を経て「仕事に余計な感情を持ち込むのは無駄」と考えられるまでにお互い成長したのでしょう。

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