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各業界で「脱ノルマ」へ 日本企業を支えてきたノルマ至上主義の功罪

2019年10月2日 7:00 週刊ポスト

 その一方で、「ノルマ廃止」を嘆く声もある。50代の大手住宅メーカー幹部はこういう。

「昔は優秀な社員に対して処遇で応えるインセンティブが大きく、ノルマを毎年のように達成する社員はどんどん給料が上がっていった。しかし、“行き過ぎた成果主義”への風当たりが強くなって、社員全体の給与水準を上げようとする動きばかりになった。できない社員は助かるけど、できる社員は不満が募る」

 ベテラン社員を中心に、現場ではジレンマもあるようだ。

「後輩に負けた。これはマズイ…」

「ノルマ」とは「(1日あたりの)作業量」という意味のロシア語。第二次大戦後、シベリアに抑留されていた日本人が持ち帰った言葉である。それが戦後の経済成長のなかで「目標」の意味で使われるようになった。人事ジャーナリストの溝上憲文氏が解説する。

「1960年代から1980年代にかけては、多少の調整は挟みながらも、日本経済が右肩上がりだった時代。作ればモノが売れたので、ノルマ達成は営業マンにとって“やる気”の源にもなっていた。

 ところがバブルが崩壊し、1990年代後半以降はデフレでモノが売れず、売り上げが伸びない時代が続いた。そのなかでノルマは“厳しい”“上からの押しつけ”といったイメージが強くなっていったと考えられます」

 1977年に第一勧業銀行(現・みずほ銀行)に入行し、支店長経験などもある作家の江上剛氏は、20代の頃に現場でノルマ達成に明け暮れていた頃の思い出をこう口にする。

「銀行はとにかくノルマ重視で、業績表彰が半年ごとにあった。年金口座、公共料金の引き落とし口座、NHK受信料の口座振替などさまざまな項目ごとに『1人何件取ってこい』というノルマが課せられていた。でも、僕の場合、自分がノルマより多く口座を獲得したら、まだ達成できていない同僚に分けてあげたりしていましたね。上司にバレて怒られたこともあるけど、お互いに助け合い、チームとして団結していたように思う」

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